○私のパートナーである車の不具合
最近自分の乗っている車の調子が、どこか違和感があっておかしいと感じるようになっていました。ブレーキを踏む度に足元の左側で異音がするのです。やがてその音は次第に大きくなり、信号で止まるときなど隣に止まった車が振り向きはしないかと、少し恥ずかしいほどの大きさになっていました。他の部位ならいざ知らずブレーキの異音ですから、もしこのまま「ブレーキが効かなくなったらどうしよう」と、松山往復の間不安に駆られました。
早速近所の馴染のモータースへ行き看てもらいました。私の話を聞くなり大将は「ああブレーキのパットがちびたんでしょう」と言い、「直しますか」「部品を取り寄せなければいけないので二、日ほどかかりますが」と念入りな話をし、私が納得したのを見て車検証の写し車内ボックスら取り出しコピーして、早速電話注文しました。概算見積もり1万円余りだと聞いてホッとしましたが、10年も乗っていると色々とガタが来るものだと、64歳になった自分の体と比較しながら思わず苦笑いしたのです。(1週間前、修理完了、費用は1万6百円でした)。
私がトヨタのプラッツを買ったのは10年前の、役場に勤めていた頃です。私は余り車にはこだわらずむしろ軽四でもいいと思っていましたが、遠出をする私の体を気遣った妻は、私のようなドケチ人間にしては飛びきり上等の車を買ってくれたのです。「あなたは遠出をするので小さい車は疲れたり危ないから」が一番の理由でしたが、最も大きな理由は「もうあなたの人生で車を買うのはこの次2回くらいだから」というのです。私はその時始めて自分の寿命のはかなさを知りました。54歳の時でした。そういえば妻の言うとおり「これから新車を購入して10年乗れば俺は64歳か、64歳で車を購入すると10年乗って74歳、その頃はもみじマークを付けて軽四で十分だから・・・」と、遠い先の10年後20年後に思いを巡らせて車を購入したのです。
しかし時の流れは早いもので、早くもその10年目があっという間にやってきたのです。その間自動車産業は大きな発展を遂げ、世界同時不況まではトヨタ自動車などは年間2兆円の利益を上げて、世界第1位の会社になっていました。しかし最近の不況で特にアメリカの自動車産業は、ビッグ3までもが経営危機に陥っているのですから、全く先の読めない時代なのです。自動車に使っている部品の再生利用や排ガス規制の環境問題にも消極的だった自動車業界はこの不況で、一転してエコカーを売り出し、「世界を見つめる」から「お客様を見つめる」に大転換し始め、政府の不況対策減税やエコ支援もあって、プリウスなどは注文しても納車は来年という注目度なのです。
最近は連日のように、自動車各社はこの時とばかりエコカーの宣伝をテレビやチラシでやっています。私の車の買い替え時期も9月なので、ひょっとしたらエコカーの恩恵にあずかりそうな雲行きを肌で感じながら、妻も息子も私の車のことを心配してくれていて、「あれがいいこれがいい」と他人事ながらパンフレットを集めてくれているようですが、私は余り関心がないのです。
私は今のプラッツを10年間で21万キロ近く乗っています。車庫に吊していたインディアンカヌーが突然車めがけて落下し、ボンネットにはその時の傷やへこみが残っていますが、私にとっては中国・四国・九州各地を巡った思い出多き車のです。最近は車を洗ったりワックスをかけたるする回数も少なくなりましたが、10年乗った車にしては綺麗に手入れをして乗った方だと自己満足もしているのです。車とともに歩んだこの10年間を振り返りながら、これから始まるであろう10年間、車で行く先々でどんな人生のドラマが待っているのでしょうか、車も自分の体も健康で10年を過ごしたいものだと、10年後と10年前を比較しながら思いました。
「俺に似て そろそろ寿命 来たのかな? 十年乗った 車愛着」
「エコカーを 買えと言うよに パンフ置く 私の書斎 マニアのようだ」
「十年は やはり区切りと 思いつつ 十年前と 十年後を」
「この傷も あそこであんな ことあった 思い出しつつ 車を洗う」