○くちなしの白い花
今朝庭に出ると、どこからともなく甘い香りが漂ってきました。辺りを見渡すといつの間にか、庭の隅にくちなしの白い花がいっぱい咲いているのです。「ああくちなしの花が今年も咲いたな」と思いつつ、傍に寄って花に鼻を塚づけて見ました。最近はこの匂いに良く似た芳香剤が売られていて、トイレなどの消臭剤に使われているため勘違いしそうですが、紛れもなくくちなしの白い花の香りでした。
花芽が次々と出ているため剪定ばさみを取り出し、一輪二輪まだ蕾の枝を切って一輪刺しに差し台所に飾りました。こうすれば明日の朝には香りを楽しむことができるのです。季節の移ろいの中で植物は自分の存在を知らせるように咲くのですが、愚かな私は忙しさにかまけて花を愛でることも殆どなく時は過ぎて行くのです。
花は普通五弁が多いのですが、くちなしの花は六弁であることも今朝初めて見つけ知りました。
「くちなしの花」という歌が大ヒットしたのは昭和48年です。作詞水木かおる、作曲遠藤実のコンビで作られたこの曲は渡哲也が歌っています。歌手でもない歌手が歌った歌はどこかぎこちないもののとても新鮮で、当時教育委員会に勤めていましたが、会合の後の呑み会にはカラオケでよくこの歌を歌いました。しかし作詞家はくちなしの白い花を見てこのような素晴らしい歌詞を作り、その歌詞に曲を付けるのですから凄いとかいいようがありません。私などはくちなしの白い花を見てトイレの芳香剤を思い出すのですから、いい加減も甚だしいのです。
ギターとハーモニカを取り出し、そっと弾きながら吹きながら一人口ずさみ感傷にふけりました。
くちなしの花
(歌詞掲載不可のため割愛)
「くちなしの 花を見ていて 懐かしき あの頃思い 口ずさみつつ」
「くちなしの 花を見ながら 歌詞にする 俺は凡人 トイレの香り」
「梅雨晴れ間 六弁白き クチナシの 花にミツバチ 戯れて遊ぶや」
「窓開け くちなし香り 取りこんで ただぼんやりと ハーモニカ吹く」