○庭樹の選定をする91歳の親父
梅雨に入ってもまとまった雨が降ったのは2日ほどで、今年の梅雨はどうも空梅雨の模様です。すでにあちらこちらでは水不足で断水や田植えができないなどの被害が出ているようで、先の長い今年の夏を心配しているのです。夏が近づくとわが家の庭ではあちらこちで雑草が伸び始め、親父は昼までに日陰になる所を午前中、昼から日陰になる所を午後と場所を変えて草引きに余念がないようです。しかし91歳になる親父にとって草引きはむしろ草の方の成長が速くて、家の周りを一回りした頃にはもう次の草が生えてきて、まるでいたちごっこのようです。
この季節になると親父の仕事は草引きからむしろ庭木の手入れに重点が置かれるようになります。庭の樹木は殆ど買ったものはなく、いただいたり自分で育てたものなのですが、家庭菜園も含めると660坪もある広い敷地なので、樹木の数も半端ではなく、親父はその一本一本を剪定して回るのです。
(私の書斎の前の中庭で松の剪定をする親父)
一番樹高の高いクロガネモチなどは有に5メートル近くあって、足場をかけるかよじ登らないと剪定が出来ないようなものもあります。昨年まではどうにか自分で足場を組んで剪定をしていましたが、今年はもう木に登ったり足場の上で作業することが危険だからできないと弱荷を履いています。これは毎年のことなので別に気にもしていませんでしたが、昨日ちょっとよろけて転げたそうで、そろそろ私の出番が来たことを実感しました。
しかし、いくら私の出番が来たからと言って今日から剪定ができるものでもありません。特に松の剪定は難しいようで、ハサミを入れ方を間違えると芽吹きしないばかりか、枯してしまうことだってあるのです。松は親父が大事に育ててきた樹種の一つで、はて一本の木でも2日間もかかる剪定作業を私はとてもやる自信がないのです。
(ガンの手術で片目しか見えないのにこうして剪定をするのです)
親父の起用さは、誰もが認めるところですが、まあこの歳になっても様々な工夫を凝らして庭をアレンジしているのです。最近流行の花で庭を飾るガーデニングではありませんが、和風ガーデニングというような作風です。家の周りはまるで箱庭のように手作りされているのです。特に自分の住んでいる隠居の周りは枯山水の一幅の掛け軸を見ているようです。
決して金をかけず、あちたこちらで拾ったり貰ったりした石や樹木を大切に育てて作り込んで行くのです。カエルの子はカエルなのでしょうが、私はカエルの子はオタマジャクシで、まだ手も足も出ないのです。もうそろそろと退職の時思いましたが、あれから早くも4年があっという間に過ぎ去りました。今年も剪定作業をしなければならない暑い夏を迎えたというのに、私は相変わらず書斎の室内でこうしてブログを書き、窓の向こうの外で親父はせっせと庭仕事です。少々心が痛みますがもう少しの間、元気で頑張ってほしいと願っています。
「親伝授 カエルの子ども だというに オタマジャクシで 手も足も出ず」
「もう限界 いつも言ってる 言葉だが 今年もやはり 脛をかじりて」
「箱庭の ような和風の 庭作り ガーデニングを 楽しむ親父」
「さて俺は 親父伝授の 庭手入れ 心もとなく 未だ習わず」