○ソラマメ届く
この2~3日、季節が逆戻りしたような少しひんやりした朝を迎えています。昨日はこの季節にしては珍しい北東の風が吹き荒れ、親父などは一度しまっていたコタツを取り出したり、冬物の服を着て「わしは体がどうにかなったのか寒くてならん」と何時になく弱音を吐くのです。「北海道では雪が降ったらしく、寒波のせいで寒いのだ」と、遠い耳元で説明してやりましたが、さて聞こえたかどうか・・・・。それでも季節は巡り、書斎の窓から見える裏庭は日増しに緑が濃くなり、今朝は朝日に輝いて一際美しく見えます。
昨日、友人の宮栄さんから米袋に入れられて沢山のソラマメが届きました。宮栄さんとは社会教育で知り合った旧知の友人ですが、お互いおすそ分けの交流が続いています。宮栄さんは無類の魚好きなので、親類や友人から魚が届くとおすそ分けするのです。逆に宮栄さんもレンコンやソラマメなど、親類が農家らしくこれまたおすそ分けを毎年決まったように届けてくれるのです。
昨日は妻が出かけて留守でした。というのも昨日は母の日で、次男が休暇を取って映画とお風呂をセットにした親孝行の真似事をするというので、親子で出かけたのです。私もお誘いを受けましたが、あいにく地元のウォーキング参加と締め切りの原稿があって出かけることが出来ませんでした。
一通りそれらが片付いたので、妻が帰るまでにソラマメの皮を剥いておこうと殊勝にも思い立ち、綺麗な夕日を見ながら夕観所の名前の付いた東屋に一人陣取り作業をしました。昨日の夕日は格別美しく、ソラマメの皮を剥きながら裏庭に上がって写真を取ったりしながらの作業です。
ソラマメは大小さまざまで、サヤの中に三つ、二つ、一つなど入っていますが、サヤを割ると中から可愛らしい緑のソラマメが勢いよくピュッと飛び出してくるのです。子どもの頃にはこれが面白くて、もっぱら豆の皮剥きは子供の仕事でした。ソラマメによく似たエンドウも皮のまま食べるものを除けば同じようにグリンピースがはじけるように出てくるのです。
そのうち夕方になって帰った妻は「今日は映画館は二人連れが多く、一緒に映画を見ると思っていた息子は別の映画を見ると素気なく別のホールに入り、一人寂しく見た」と不満を漏らしていました。「やっぱりお父さんを誘うべきだった」と後悔していましたが、それでも自分に手にかかるはずのソラマメの皮剥きの作業をしてもらったのが余程嬉しかったのか、早速夕食に一品作ってくれました。剥きたてのソラマメは美味しく、沢山食べました。残ったものは茹でて冷凍保存するのだといっていました。
一昨日訪ねた香川県高松市三谷地区でのソラマメも美味しかったし、お土産にいただいた香川特産のソラマメの醤油煮も美味しいです。ソラマメを剥きながら、サヤを親に真綿のような袋で育むソラマメの実はまるで子どものようです。こんな温かい環境で子どもを育ててやりたいものです。
「おすそ分け もらいし豆を 一人剥ぐ 夕日傾き 背なでただ今」
「真綿抱く 豆の姿に 子育てを 思いつひとり 豆の皮捨て」
「剥きし豆 早々夕餉 膳並ぶ 緑の湯気が ほのかに立ちぬ」
「豆茹でて 早々冷凍 する妻の したたか暮らし 垣間見るなり」