shin-1さんの日記

○再び今治へ

 今月2日に今治に住む息子にせっかく会いに行きながら緊急な会議が入り、出会うことが出来ず不発に終わったばかりなのに、縁とは不思議なもので今日もまた別の用事で今治へ出かけました。妻は息子に「お父さんが行くから何か欲しいものはないの?」と電話をかけたようですが、男の子は相変わらずぶっきらぼうで、「仕事の日なので会えない」というショートな会話で打ち切られてしまったようでした。親子なんてそんなものだと思っている私に、妻はやれ「年頃」だの、やれ「食事はきちんと取っているの」とか、相変わらず心配の言葉を息子に向って話しているのです。

(今治市役所11階からはしまなみ海道来島大橋が綺麗に見えました)

 今日は今治市役所の11階特別会議室で「今治市生活研究協議会」の総会行事があり、その記念講演講師として招かれたのです。10時からなので、9時30分に到着するよう朝7時過ぎにわが家を経ち、松山を経由し海岸沿いの165号線を走りました。今日は絶好の日和でした。長いゴールデンウィークも昨日で終わり平静さを取り戻したのでしょうか、沿線は何時もより静まり返って、道も空いていてスイスイ2時間で予定通り到着しました。

 農林振興課へ午前9時50分までに来るよう文章に書いていた事をすっかり忘れ、農林振興課が8階にあることさえも記憶になく、11階まで上がるエレベーターが一箇所しかないため、エレベータはかなり混んでいたので時間もあることから思い切って歩いて上がる事にしました。何気なく歩き始めたのですがこれがかなりきつく、11階に到着した頃は少し汗ばんでいたようでしたが、まだまだ元気な自分に安堵しました。

(笑顔が楽しい総会記念講演会場)

 玄関ロビーに到着するなり、えひめ地域政策研究センターの清水研究員さんから携帯が入りました。「今日は今治の生活研究会で講演ですって」と唐突に言うのです。「えっ、何で知っているの」と耳を疑いましたが、この会に参加する予定である大西町朝フル会の大河内結子さんから聞いたというので納得しました。清水さんはすかさず講演に二人だけの内緒話の注文をつけました。一応了解したものの、しかし「やばい」とも思ったのです。だって知らない人だけならばどんな話も出来るのですが、知り人がいるとこちらが気を使ってしまうのです。でもそれは殆ど始まるまでの取り越し苦労で、講演が始まると「小島よしお」の「そんなの関係ない」って感じになるのです。会場には何人も知り人がいて、これまたやりにくい心境でした。それでもたっぷり1時間30分お話をさせてもらいました。やはり実践家の集まりなので反応も絶好調、私も舌好調といったところで、あっという間に終わってしまいました。

(お土産にいただいたミニカボチャと小玉スイカの苗)

 帰りにカボチャとスイカの苗をそれぞれ2本ずついただきました。スイカは小玉だそうです。カボチャもミニカボチャだそうで、早速帰ってから家の横の家庭菜園に植えつける準備をしなければなりません。明日は朝早くに土佐清水へ出張して、夜遅く帰る日帰りの旅が待っているので、今日中に植えつけたいのですが、今日が締め切りの原稿があるのでかなり悩んでいます。原稿を間に合わせるか苗植えを優先するか、悩みながら帰って来ました。

わが家の野菜作付けはもっぱら親父の仕事です。親父は自分の気に入らないものは作らない頑固者なので、カボチャもスイカも余り好きではないようです。親父にこっそり植えると、引っこ抜かれてしまうので、親父の機嫌を取って見たいと思っています。

  「今治が 次第に近く なりにけり だけど息子と 顔も合わさず」

  「顔見知り 多い講演 やりにくい プレッシャーだと 思うが忘れ」

  「お土産に スイカとカボチャ いただいて 菜園管理 親父説得」

  「十一階 歩いて上がる 勇気持つ 俺もまだまだ 足腰しゃんと」 

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shin-1さんの日記

○割れかけた湯飲み

 私の家の台所には、大小様々なコップや湯飲みがあります。どれがコップでどれを湯飲みというのか分りませんが、新築祝いや子どもの記念品、観光土産などでもらったものが殆どだと思うように、文字入りで焼かれたものが多いようです。それ程沢山あるのに毎日お茶を飲む湯飲みは殆ど一つか二つに絞られて使われているのです。昨日の朝、お茶の量丁度良いため愛用している小さめの湯飲みにヒビが入っているのに気がつきました。その湯飲みは紛れもなく観光土産で、どこかの観光地で買った物なのですが記憶にないほど古いのです。

 湯飲みの側面には「理想の妻」と箇条書きでかかれています。

 「理想の妻」

 一、夫の好き嫌いを早く飲みこむ妻

 二、快活でたっぷり従順で優しく上品な妻

 三、どことなく初々しい感じのする妻

 四、家政と料理が上手で糠味噌臭くない妻

 五、気転ががきいて利口ぶらぬ妻

 六、何事にも理解と同情を持とうとする妻

 七、働き者でコセツカぬ妻

 八、話し上手聞き上手の妻

 九、飾り気なく身だしなみのよい妻

 十、世の中に遅れぬだけ修養につとめる妻

 殆ど毎朝、この湯飲みでお茶を飲みながら、お茶の量が減る度に湯飲みを横にして、「お前のことを言っているようだ」と、妻に向って歯の浮くような褒め殺しをしているのですが、昨日の朝は「この湯飲みも割れ始めた。お前の理想もこれで終りだな」と湯飲み宜しく茶化して話しました。妻曰く「お父さん、これは男の目から見た願望でしょう。この『理想の妻』「理想の夫」にして、少しは私の納得いくような夫になるよう努力したらいかが」とやり返されました。確かに私は妻の言うように「理想の夫」ではないかも知れないと自分でそう思うのです。だのに一方的に妻にだけ理想を求め続けていたようです。

 それでもこの頃少し優しくなったと妻は私を褒めてくれます。これまでは「仕事」第一で、殆ど家庭など顧みなかった私です。家事全般、子育て、近所付き合いどころか、私の仲間や友人の付き合いに至まで、全てを妻の仕事と位置づけて強要してきました。それでも妻は一生懸命働いてきたし、私のリタイア後の今も薄めの化粧や普段着に甘んじて働いているのです。

 妻が「近頃優しくなった」というのには訳があります。職場である歯科医院の同僚の娘さんが急逝して前触れもなく辞めたため、二人の職場が一人となり、忙しさが二倍になったため、帰ると肩が凝ったと疲れをあらわにするものですから、ぎっくり腰の治療で通った整体院の揉み方を見よう見真似してマッサージしてやるのです。最初は「まあ珍しい、雨でも降らなきゃいいが」などとからかわれていましたが、今は「そこを揉んで」と肩や腰の凝った部分を強要するのです。

 妻の体を揉みながら、「俺も優しくなったものだ」と自分に納得させ、妻も「優しくなった」と褒めてくれるのです。少しだけ嬉しくなって、最近は家の周りの草引きなどもするようになって、いよいよ「理想の夫」を目指しつつあるようです。

 間もなく割れるであろう運命の「理想の妻」の湯飲みを、自戒の念をこめて写真に収めました。

  「理想妻 書かれた湯のみ ヒビが入り 夫婦のヒビと ならないように」

  「理想だけ 妻に求めて 生きてきた 勝手な夫 少し変身」

  「観光地 今度は俺の 目標を 書いてる湯飲み 探し求める」

  「理想夫を 求める箇条 作ろうか 少しやましい ことがあるから」

 

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