○秋の草花
各地から秋の便りが届くようになりました。例年なら9月中旬には咲いているはずの彼岸花が、今年は10日も遅れて咲き始め、わが家の裏山にも真っ赤な花が今を盛りと咲いて、秋風に揺れています。彼岸花を見る度に自然の神秘や、絵にも描けないような幾何学的な美しさに感心するのです。
中学生の頃、国語の授業で万葉集のことを習いました。山上憶良という歌人が、「秋の野に 咲きたる花を指折り(おゆびおり) かき数ふれば 七種(ななくさ)の花」と詠んでいます。「萩の花 尾花葛花 撫子の花 女郎花
また藤袴 朝顔の花(ききょう)」これを秋の七草というのですが、私たちの暮らしに馴染みの深いものは、萩とススキくらいで、花を見てこれがどの花と名前を言い当てる人はそんなにはいないようです。
そこで、秋の七草を写真を見て言い当てられるか自分自身をテストしてみました。
①のススキ、②の萩、③の桔梗、④のクズ、⑤の撫子までは分かるのですが、⑥の藤袴と⑦の女郎花(オミナエシ)は自信がありませんでした。また④のクズの花は通称カズラの花であったり、①の地元で茅と呼ぶススキが秋の七草だったり、⑦のオミナエシが女郎花と漢字で書かれたりしていると、もう頭がこんがらがってしまうのです。食用になる春の七草に比べ、万葉集にも詠まれるほど有名な草花なのに、何故か私たち庶民の暮らしには今一馴染みが少ないようですが、秋の七草は今が旬です。名月とともに大いに季節の詫び寂を味わいましょう。勿論食欲の秋ともどもに・・・・・。
「花の名も 言い当てられぬ 無骨にて 風流愛でる こともできずに」
「七草と 言えば月見を 思い出す 花より団子 そろそろ芋炊き」
「葛餅が 大好物の 妻などは 葛の花など 知らぬ存ぜぬ」
「暑さ過ぎ 秋も次第に 深まりて 頭を垂れた ススキ風揺れ」