○台所のリフォーム
私たちが30年を越えて使っている台所を、同居する息子と立ちに明け渡すため、かつて祖母が使っていて祖母亡き後使わなくなっていた部屋を、私たち夫婦が使うためのリフォーム工事が始まりました。この部屋には妻が結婚する時持参した蒲団櫃と、祖母が結婚する時持参した古いタンス、それにわが家の胃袋を賄う冷凍庫を置いていたのですが、それを全て外へ出すために大掃除を試みました。この部屋に置いていたカリン酒や梅酒、梅干、ラッキョウの食品の類から、天草・ヒジキ・ワカメといった海産物まで沢山のものが収納されていました。
一通り外に出した後、大工さんが座板と防火壁板をはがし、天井と床が全て見える無残な姿となりました。 祖母亡き後殆ど開けなかった玄関扉を開くと外から柔らかい春の日差しが差し込み、思わず祖母の生前中の顔が浮かんできました。祖母は三崎半島の中ほどに位置する、旧西宇和郡瀬戸町小島の出身です。12人の子どもを産み育て88歳で亡くなりましたが、晩年はこの部屋で余生を送りました。わがyで一番日当たりのよい南向きの部屋だったため、この2間での暮らしに大いに満足して往生したのです。
本来ならこの部屋に親父夫婦が住むはずなのですが、親父夫婦は同一敷地内に別棟の隠居を立てたため、私たちがこの部屋を使うことにしたのです。
私たちが使っている2間続きの居間はそのまま使うことにしていますが、これまでの暮らしと導線が少し違っていて、最初は戸惑うことが多いものと思われますが、まあこれも仕方がないことなのです。
わが家では最近落ち着かない日々を過ごしています。昼間は大工さんが土足で出入りし、はつったり打ち付けたりのけたたましい音が家中に響きます。夜になるとそこら辺に置いた物を片付けてあちらこちらへ収納し直して行くのです。そして使われなくなった物を分別してゴミに出すという作業をしていますが、私が「捨てろ」というと妻が「捨てない」といったり、夫婦の間もひびが入るのではないかと思うほどの葛藤です。この喧騒は5月の連休を過ぎてもまだ当分続きそうな雲行きです。