○若者よ頑張れ
今日は砥部町に住む一人の若者が私を訪ねてやって来ました。行き先不透明な社会で人生に悩む若者は、不景気や就職難ゆえに多い昨今ですが、三十路を超えようとする年齢になっても、自分の思い通りに生きられない若者の姿を見ていると、自分の息子を見ているようで胸が熱くなりました。
幾つもの職を転々としたお陰で、回り道の効果というのでしょうか、色々な人にめぐり合い、色々なことを学んできた若者は、考えも行動もしっかりとしていて、私のアドバイスにも何かヒントを見つけようと、わが家の庭先にある東屋で1時間ばかり話しこみました。
(若者の前にほろがる180度の視界は、心の鏡にどのように映ったのでしょうか)
(東側の眺望)
気分転換に二人で人間牧場へ行きました。背もたれ椅子を二つウッドデッキに出して二人並んで寝そべり、眼下に見える雄大な瀬戸内の景色を眺めながら人生について語り合いました。今日の人間牧場は飛びっきり上天気で、180度の視界はワイドビューで絶品といえるものでした。
この景色は私の人生や思考の原点であり、「悩んだら元に戻れ」という親父の言葉どおり、人生の幾つもの試練の時々にこの景色にどんなに励まされたことか分かりません。特に漁師を病気の都合で転職して役場へ務めることになった時、また多くの反対を押して夕日でまちづくりを始めた時、退職して人間牧場を造ろうと決意した時々に、この雄大な自然は私の心に大きな力を与えてくれたように思うのです。
人間にとって行く道には必ず分かれ道があります。左へ行くか右へ行くか、好きな方か嫌いな方か、楽な道か苦しい道か、選択しなければならないのです。道を間違え「悩んだら元に戻れ」と親父は言うが、後戻りできない決断もありました。今日私を訪ねてきた若者にもそのことを具体的に話してやりました。
聞けば嬉しいことに私の話をある集会で、若者の父親も聞いたことがあるそうでした。「また来ていいですか」「いつでもおいで」と言葉を交わし若者は帰って行きましたが、はてさて若者は人生の分かれ道でどっちの道を選ぶのでしょう。厳しい社会の荒波だけど頑張って欲しいと後姿に声を掛けました。
「迷い道 壁も色々 あるけれど 一歩踏み出す 勇気頑張れ」
「迷ったら 元に戻れと 父は言う ゆえに戻らず 一歩踏み出す」
「考えも しっかりしてる 若者を 何故に仏は ほっとくのだろう」
「おい見ろよ こんな景色を 見ていたら 悩み事など 小さいもんだ」