○3つの同心円
まちづくりの世界に長年かかわっていると、色々な人から色々なお話を聞く機会があります。最近はやたらと横文字が多く、少しでもそのことを理解しようと横文字の意味を調べたりするのですが、イミダスや広辞苑など私の頭脳として首っ丈で調べていた辞書類が、インターネットの普及でこの一年、殆どページを捲ることもなく書棚の隅に追いやられているのです。インターネットは早くて簡単で便利ですが、やはり私のような古い人間にデジタル情報はどこかしっくり行かない部分があるようです。
まちづくりを理論化するために数式や図解することがしばしばあります。私が最近よく使う氷山の一角という図式も潜在能力と健在能力を説明する分かり易い図解として、聞く人によく理解されているようです。
最近目にしたサイモン・シネックの図式も非常に興味のあるものでした。同心円を3つ描き、中心からWhy、How、Whatとします。Whyは原因や理由、Howは方法、Whatは何という意味ですが、失敗する企業は外側から説明し、成功する企業は内側から訴えるというのです。同じように見えても、何を⇒どのような方法で⇒何のためにするのかと、何のために⇒どのような方法で⇒何をするのかでは随分違うのです。
私たちがやっているまちづくりの手法は、「何のために」ということをまず考えてやっていて、サイモン・シネックの図式を見て成功するしないは別にして少し安心した次第です。でも「Why」ばかりを議論して一向前へ進まない人たちもいます。私はその人たちを振り子時計の原理だと思っています。
振り子時計は棒の長さが短ければ早く動きますが、棒の長さが短いとゆっくり動きます。でも長くても短くても振り子は同じ場所を行ったり来たりするだけで、行動を起こさなければはずみ車となって遠心力はつかないのです。最初は振り子時計で「Why]を議論しても、誰かがリーダーシップを発揮して引っ張るか後押しをしなければ、いつまで経っても議論ばかりで前へ進まないのです。
人は得てして権威付けをするため、分かり易い話を難しくするものです。難しい話を分かり易く説明するには図式が一番ですが、私のような凡人には図式の説明すら難しく、人に理解されるかどうか疑問符かつくのです。でも3つの同心円の図式はこれからも説得の材料として活用してゆきたいと思っています。
「なるほどと 思って使う 同心円 横文字意味を 忘れてえ~と」
「西洋と 説明違う 東洋人 名前が先か 苗字が先か」
「まちづくり 理論武装も ないままに 終わりそうだと 今頃気付く」
「広辞苑 イミダスさえも 開かずに ネット検索 時代変わった」