〇大栄の案山子に思わず「ウフッ」
双海町のあちこちの集落も過疎化と高齢化と少子化が同時に進行し、限界集落と準限界集落がどんどん増えて、このままでは10年後どうなるのだろうと思うと不安でなりまりません。私のように灘町という300戸近くの集落に住んでいてもドーナツ現象で、独居家庭や空き家も目立ってきました。
私はいつも「今が適正」と思っていますから、適疎、適高齢、適少子だと現状を受け入れているものの、少し知識のある人はやれ「行政や議員、市役所職員は過疎や高齢化や少子化を見て見ぬふりをして、何もしないのはなっとらん」などと、不満の糸口を税金で給料を貰っている人たちに向けているようですが、そういう人は何もせずただ人を批判ばかりして、寂しく一生を終えるのです。私はそうした人を見るにつけ、少し腹立たしさを覚えながら、「それ程言うのならあなたがしたら」と言ってやりたい心境になるし、「あんな人にはなりたくない」と、自分でできることを少しずつ仲間を増やしてやっているのですが、私も時には元役場職員、元教育長という剥がれかけた古いレッテルがあるばかりに、その人たちの批判の対象にされているようです。
一昨日旧広田村へ講演に中山回りで行く途中、大栄という集落を通りました。ご多聞に漏れずここも限界集落なのですが、そのさらに奥には「奥大栄」という集落があって、ここはもう廃集落寸前になっているようです。「大栄」の集落を通ると道沿いに突然異様な光景が見えてきました。それは集落内のいたる所に置かれている案山子なのです。案山子といえば秋の実りのころ田圃に立って、雀やカラスの脅しに使うものですが、この集落では何人かが案山子を作って楽しんでいるのです。
案山子で町おこしをしている話は聞いていたし、何度かこの道を通りましたが、置かれている案山子は暫く見ない間に随分バージョンアップしていました。嬉しくなって広い道沿いに車を止め、失礼ながら車の中から手持ちのデジカメで2~3枚写真を撮らせてもらいました。案山子さんの肖像権があるようでしたら「ごめんなさい」。
それにしても何処で習ったのか、案山子はどの顔も表情が豊かで、思わず「ウフッ」と顔が緩んでくるようでした。今年は警察のアンダー作戦にもかかわらず交通死亡事故が多発し、非常事態宣言が出る程で、案山子で交通通安全を訴える姿はさすがだと思いました。
あちらこちらに置かれている案山子を見て、私はこの集落の人に感心しました。この集落では谷間に鯉幟をあげたり、沿道に花を植えたり色々な自分で出来る地域づくりをしています。先日もこの集落の市会議員さんが中心になって、翠小学校で学校の将来を考える講演会が行われました。色々言う人もいますがやらないでやれないという人よりは、まず一歩踏み出してやることは地域づくりの基本なのです。
過疎を嘆くより案山子を増やして住民票を与えれば、それこそ人口急増です。そんな開き直ったパロディーが必要なのかも知れません。地域づくりにとって何より大切なのは、やっている人たちが楽しいと思うことなのです。
「ドライブの 途中道端 案山子たち 交通安全 一役かいて」
「どんな人 作ったのだろう 思いつつ 案山子に会釈 しながら通る」
「嬉しいね こんなパロディ 持った地区 地域づくりは こうでなくっちゃ」
「県警の 本部長さん 物申す 交通安全 案山子表彰」