○桜が咲いた
今年の夏は例年になく暑く、全国各地から40度を超える猛暑記録が報告され、誰もが地球温暖化を意識したのではないでしょうか。わが家でも九十歳になる親父が「90年間生きてて今年ほど暑かったことは経験がない」と、農作業をしながらの体感温度を説明していました。10月の初旬まで尾を引いていた暑さもさすが各地から秋祭りのニュースが入る頃になるとグッと冷え込み、天気の良い今朝などは放射冷却現象で、「ブルッ」と顔を洗う水も幾分冷たく感じる朝でした。
遅かった人間牧場のススキもしっかり開いて秋を感じさせているようですが、海岸国道を走っていると、葉っぱが少し色づき始めた桜の枝に、ポツリポツリと桜に花が咲いているのが見えました。季節を勘違いして咲くこれを狂い咲きというのでしょうが、植物の世界でも気象異変は起こっているようで、愛媛新聞の「自悠くらぶ」サイトでも清水さんが松山城の桜の話題を書いていました。
ふと何日か前に偶然見つけた狂い咲きの桜のことを思い出し、シーサイド公園で人と待ち合わせるまでに時間があったので出かけてみることにしました。場所は伊予市双海町上灘小網、通称通り穴のトンネル近く、国道沿いの緑地帯です。交通量もかなり多く、追い越し禁止が解除になりスピードを上げる場所なので、左右の安全を確認し安全な場所に車を止めて見上げると、満開と見まがう程とまではいえませんがかなりの桜が咲いていました。顔見知りの方が通りかかり、私が頭上目がけてカメラを向けて写真を撮っているものですから、「何をしているのですか?」と怪訝そうに近寄ってきました。次々と4~5人が集まり、ちょっとした季節外れの花見となりました。通りかかった車も減速して危ないのに「何事だ」とわき見運転です。
久しぶりにカメラを提げた私を見て、地元の人は「若松さん痩せたが体大丈夫?」「写真を撮って何に使うん?」「お元気そうで何よりです」「お互い歳をとりましたなあ」など等会話も弾んで、待ち合わせの時間にあいにく遅れそうになりました。「先を急ぎますので」と言葉を遮り車に乗り込みましたが、とんだハプニングの花見となってしまいました。それにしても見事な桜の狂い咲きで、今年は春と秋に桜の花見が出来て幸せでした。
しかし、立ち話したある人が「狂い咲きは異変だからこの反動はどこかで出てくる」というのです。確かに自然の変化が今年は異常といえば異常でした。10月になっても残暑が衰えず30度を越えたのも異常です。このままでは青森でみかんが栽培出来るのではないかという人さえいるほどです。極早生みかんの最盛期なのですが夜温が下がらずみかんの色づきが悪いという話も聞きました。人間が便利さを追求し過ぎた付けは、こうして自然の変化にも微妙に絡んでいるのでしょうが、凡人の私には知る由もありません。環境に警鐘を鳴らし活動を続けているアメリカのゴアさんがノーベル平和賞を受賞するそうです。アメリカの副大統領として強いアメリカの片棒を担いで環境を壊した人が今度は環境を守るという何とも皮肉なめぐり合わせです。でも今からでも遅くはない、私たち一人一人が環境について考え行動しなければ、本当に手遅れになるのかも知れませんね。
「暑かった 今年の夏を 感じたか 桜狂って 二度目の開花」
「青空に 無数の桜 綺麗だね でも変思う みんなも思う」
「この桜 来年春は 咲くかしら 思い寄せたい 気になる一本」
「俺の痩せ 姿と桜 重ねたか こもごも感じ 言葉に出さず」