人間牧場

〇どっちがどっちなの?

 一昨日、市民が主役のまちづくりを考える「地域力パワーアップ大会」が松山市文京町の松山大学カルフールホールでありました。今回で第2回目を迎える大会ですが、私も松山市のまちづくりアドバイザーとして参加しました。今年のテーマは「~若者の力で地域をおこす~」でした。野志市長さんのあいさつに続いてオープニングでは「まちづくり10年の歩み」が紹介され、まちづくり協議会が19地区、準備会が2地区に増えたことも紹介されました。

地域力パワーアップ大会の様子を知らせる新聞記事
地域力パワーアップ大会の様子を知らせる新聞記事

 第一部は、①堀江地区から「子どもにだってできるまちづくりはある」、②清水地区から「学生が地域と関わる」、③NPO法人松山大学学生地域創造研究所MESEから「六つの志~夢を追いかける私たち」というテーマで事例発表がありました。休憩を挟んだ第二部は、発表者と私を含めた3人のアドバイザーが壇上に上がって議論をしましたが、まちづくりにおける若者の力の捉え方と活動に多少戸惑いを感じました。松山を含めた日本全国のまちづくりの現場で、若者の顔が殆ど見えない現状を思うと、松山のように大学や専門学校があり沢山の学生が暮らしているのですから、このヤングパワーをまちづくりに生かせないものかと思うのは当然ののことです。

 若者も少数ではあっても何とかお役に立ちたいと、まちづくり的な活動をしてはいますが、それらの殆どは若者だけの活動で、地域のコミュニティーに根ざした活動には程遠いようです。私たちが若者に本当にやって欲しいのは、地域住民の輪の中に入り、地域とともに地域を興すことなのです。若者から言わせれば地域には「手つなぎの鎖のような封建的な古いしがらみ」があって、若者が入るのを拒んでいるように見えます。一方地域の住民も「今の若者は」の言葉に代表されるような若者に危険レッテルを貼っているようにも思え、こうしたボタンの掛け違いが両方の間に深い溝を作っているようです。

 「若者がいないから歳をとっても頑張るしかない」と思っている人たちがリードせざるを得ない地域と、「歳をとった人がいつまで経っても中心になるから若者が主役になれない」と思っている若者の意見は、どっちがどっち?、どっちもどっちです。さて皆さんはどう思うでしょうか。宗教学者で夕焼け京都塾塾頭の山折哲雄(元日本国際文化センター所長)さんは、「若い世代に既得権益を譲れる心構え」を説いていますが、私もある意味同感です。しかし若者がふるさと意識を持たず、まちづくりに興味を示さないのも事実です。地域が若者の力を求めてもどこに若者がいるのか、またどこへ言えばいいのか分らない現状もあります。悪く言えば仲を取り持って介在する口入れ屋的存在が不在のようです。

  「まちづくり 若者不在 このままじゃ 勿体ないと 思うけれども」

  「若者の 言い分聞いて まちづくり やろうじゃないか 心広げて」

  「古い人 一歩下がって 輪の中に 若者入れて 未来語ろう」

  「口入れ屋 あればお互い 繋げるが 今は残念 見当たりもせず」

 

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