○今が名残の椿の花
菜の花や桜など、冬の寒さゆえ待ち焦がれて咲いていた春の花もいよいよ終わりが近づいてきました。わが家の前に聳える本尊山の雑木も日増しに燃えるような若草色に替わり、見事な借景となってわが家に来るお客様は一応に感心し、「いい山ですね」と褒めてくれるのです。山といえば杉や桧の美林が何となく値打ちがあるように思われますが、冬枯れ、芽立ち、新緑、若葉、紅葉と季節によって彩を変える雑木林は趣きがあって、季節感を味わうことができるのです。
こんな晩春の季節に控え目に咲いているのが椿の花です。わが家の庭には名花といわれる椿、人間牧場界隈には野趣に富んだ藪椿が無数にあって、今が盛りと咲いています。残念ながら桜の花の美しさの陰に隠れて脇役に徹していますが、私はやぶ椿の清楚な姿が大好きで、藪椿の花が無数に落ちた姿もこれまた美しいと感心して見つめるのです。藪椿は今週いっぱいが見ごろなので、見る人もなくひっそりと咲いている花たちをしっかりとこの目でめでてやりたいと思っています。
わが家の庭の隅に綺麗な椿の花が咲いているのを見つけました。多分これまでだと「ああ綺麗に咲いているな」くらいしか感じませんでしたが、ブログを書くようになってから、特にブログ用にデジカメを使って写真を取り込むようになってからは、観察力が旺盛となり、その花の一番いい顔をしているアングルから眺めたり、花の中まで食い入るように見つめて撮るのです。そして時にはインターネットで花の名前を調べたりして楽しんでいるのです。ブログやデジカメを始めて自分の季節に対する向かい合いが随分換わったような感じがするこのごろです。
一本の木の花にも遅咲きと早咲きがあって、既に咲く役目を終えて地上に落下したり、花柄を残して無残な姿をしているものもあります。また今が盛りと咲いているものもあればまだ蕾のようなものまであります。多分日当たりによる温度や、枝の位置によって微妙に違うのでしょうが、まとまって木全体で花を楽しむのも一興、花の一つ一つを楽しむのも一興です。最近は透明のコップに水を張り、水中花として楽しむ術を覚え、殺風景な書斎の机の上を野趣豊かに飾ってくれるのです。私も中々風流なところがあるようです。
「庭の隅 名残の椿 ひっそりと 愛でてやりたい 心境なりて」
「この広い 世界で私 ただ一人 だけしか見ない オンリーワン花」
「名も知らず ひっそり咲いて 散る椿 行く春長閑 遠くで汽笛」
「ブログ用 デジカメ持った お陰にて 季節十分 楽しみながら」