○閑谷学校を訪ねる(その②)
閑谷学校を訪ねたのは確かこれが5回目です。山が紅葉に映えた秋のころも、雪積もる冬のころも訪ねましたが、桜咲く春の閑谷学校は初めてだったので、とても楽しみでした。
閑谷学校は堅牢な独特な石垣と赤い備前焼瓦の講堂(国宝)がまず目に飛び込んできました。満開の桜がその色調をよりいっそう引き立てっているようでした。受付で入場料を払いましたが、21世紀えひめニューフロンティアグループも6人までがするバー割引の恩恵を受けるとは驚きでした。ボランティアガイドの案内によると、現存する庶民を対象とした学校構造物としては世界最古のものだそうです。
閑谷学校の教育は儒学(朱子学)です。聖廟の大成殿には元禄時代に鋳造された孔子像が安置されていて、孔子の特を讃えています。聖廟の前には雄雌二本の楷の木が植えられ、特に秋のころには見事に紅葉するのです。講堂は入母屋造りで屋根や窓など随所に手の込んだ匠の技が垣間見えました。10本の欅の丸太柱は学者に学んだ人たちによって磨き込まれ、外から差し込む柔らかい春の日差しに鈍く光っていました。
一昨年地域づくりの全国大会で佐賀県多久市を訪ね聖廟などを見て以来、浅学ながら論語に興味を持ちましたが、孔子の教えが日本の教育の基底に流れているような気がしました。
閑谷学校の聖廟の正門に楷の木がありました。別名学問の木とも呼ばれるこの楷の木は、当時農林省林業試験場長だった白沢博士が、大正4年に中国にある孔子墓所から採種して持ち帰り育苗、湯島聖堂雄木3本、閑谷学校雌木2本、多久聖廟雄1本を植えたのが始まりとされているようです。
楷の木はハゼや漆の仲間ですが、ハゼや漆のように被れることはないそうです。秋になると見事に紅葉するようで、私も秋のころに見る機会を得ましたが、目の冷めるような紅葉でした。今は葉を落としていますが、芽吹き間近といったところでした。
「日本人 孔子の教え 守るなら 世の中もっと 良くなるだろうに」
「この次ぎは 紅葉のころに 訪ねたい そして講堂 論語聞きたい」
「閑谷と 言う名のとおり 清閑な 学校訪ね 心洗われ」
「学校に 比べ牧場 質素なり されど年輪 塾は歳々」