○ホタルが飛び始めました
一昨日のことです。妻と二人だけの夕食と後片付けが終わり、テレビの前に座ろうとすると妻が、「お父さん、腹減らしに少し歩こう」と私を散歩に誘いました。そういえば先週は山口県や広島県へ出張したり、人間牧場でのふるさと体験塾などなど忙しい日々が続いたため、二人で散歩することも殆どなかったのです。
自宅から県道に出て夜来の雨で増水した上灘川沿いを少し急ぎ足で歩きました。双海中学校近くの上灘川に架かった二瀬橋を渡ると、目の前にいきなりホタルが一匹飛ぶのが見えました。目敏く見つけた妻は今年最初のホタルとあって、「うわー綺麗」と言いながら立ち止まって、二人でしばしホタルの行方を追いました。
目を凝らしてよく見ると上灘川の両岸ではかなり沢山の蛍が乱舞と呼ぶにふさわしいほど飛んでいました。陽はとっぷり暮れて時計を見ると8時30分を差していました。ホタルは午後9時前後が最もよく飛ぶのです。
ふと20数年前、ホタルの保護活動に取り組んだ昔を思い出しました。ホタルが絶滅寸前だった上灘川にホタルを呼び戻したいと青年たちが立ち上がり、同時期に始めたまちづくり行政の後押しもあって、試行錯誤の末ホタルを呼び戻したのです。その後ホタル養殖やホタル祭り、環境庁の「ふるさと生きもの里」選定、ホタル泥棒騒動、ホタル保護条例制定など過ぎてしまえば今は懐かしい思い出が蘇ってくるのです。
ホタルの写真も何度か試みましたが、幼稚な腕前のためことごとく失敗、ホタルの絵を描けばゴキブリだと悪評を叩かれたりもしましたが、こうしてホタルの乱舞を見る度に、人間とホタルの共生についてしみじみ考えさせられるのです。
ホタル保護活動に情熱を燃やした福岡親一郎さんや北川完三郎先生、河野喜由さんの既に他界し、昔を知る人はだんだん少なくなってきましたが、翠小学校という環境教育のシンボルも整備されたことなので、これからもホタル保護活動を時代を担う人たちが守って欲しいと願っているのです。
今年も6月5日、恒例のホタル祭りが行われます。この日は整備の終わった翠小学校のエコ改修事業完成記念式典の日でもあるので、お招きをいただいているようなので、歴史の一コマを覗いてみようと思っています。
双海のホタルはこれから約2週間が見ごろです。おおぴらにでもこっそりでも結構ですので是非鑑賞にお越し下さい。ただしホタルは見るもの、数奇な僅か2週間余りの命を断たないよう、捕まえたり取って帰らないようにお願いします。
「川沿いを ほ・ほ・ほたる来い 口ずさむ あそこここにと 指差す先に」
「二十年 過ぎてしまえば 懐かしい 逝きし人たち あの世でホタル」
「この姿 写真に撮って みたいけど 俺の腕では 暗闇ばかり」
「水張りし 田植え終わった 早苗上 優雅飛び交う ホタル幻想」