〇融通の効かない社会
昨日役場から一本の携帯電話が私にありました。「あなたの住所と連絡先を県外の方から是非教えて欲しいと電話が入りましたが、『個人情報なので教えることは出来ません』とお断りしました。相手の方は『自分の電話番号を教えるのであなたに電話をかけて欲しい』と頼まれましたので、これから申し上げる電話番号に連絡してあげて下さい」と言うのです。私は畑で草取り作業をしている最中だったので、筆記用具など持っていないため必死に覚えようとしましたが、残念ながら数字や記憶に弱い年齢になったので、とっさに近くの足元の土の上に棒切れで電話番号と住所、それに名前を書きました。電話を取り次いでくれた役場の人にお礼を言って直ぐに家に入ってメモを持ち出し、土の上に書いた電話番号や住所、それに名前を文字が乾ききって判読できないようになる前に書き写しました。
早速私は書き写したメモを元に相手に連絡を入れました。用件は講演依頼でしたが、かつて私が公民館に勤めていた昔々の友人だったので話に花が咲き長々と談義をしてしまいました。その折電話の相手は、「つい最近個人情報保護の法律を立てに行政のガードが固くなって仕事がやりにくい」と少し怒っていました。「まあまあ」となだめて電話を切りましたが、私も最近よくあるお役所仕事の壁を幾つも見てきました。
例えば印鑑の違いを指摘されることなどはしばしばで、その都度もう一度その書類を書き直して送り返せとか、訂正印を押せとか言われうんざりするのです。昨日も役所から電話があって、提出した書類の日付が間違っているので書き直すか、その時の印鑑で訂正印押さなければならないので印鑑を持って来て欲しいと連絡がありました。私は役所から近い場所に住んでいるし、直ぐにでも役所へ行けることが出来るからいいのですが、役所から遠い場所に住んでいたり車に乗れない高齢者は一体どうするのだろうと思いました。
これも昨日あった出来事です。入用があって銀行へ預金を引き出しに出かけました。顔見知りの支店長と会話を交わしながら待っていると、受付してくれた若い女性が「印鑑が違う」と言い出したのです。支店長に「本人なんだから」と懇願しましたが聞き入れられず、結局その銀行支店でお金は引き出せませんでした。私の頭の中は「×××???・・・・×××」となって、少し滅入ってしまいました。
個人情報保護という点では私に電話をしてくれた役場の人はある意味完璧な対応をしたように思います。また書類の印鑑を押し直して書類を作り変えた人もしっかりした対応でした。さらに印鑑が違うので本人と言えども預金を引き出さなかった銀行もある意味完璧でした。マニュアルやルール、それに法律を破るとその責任を被らなければならにので当然なのですが、マニュアルやルール、それに法律を立てに杓子定規な対応をする人たちを何処か寂しく感じるのは私一人ではないようです。それがあたかも平等と言えるかどうかも考えます。まあファジーな世界にあってファジーが聞かない場所もあることを思い知らされた一日でした。
「相手から 連絡先を 聞かれても 個人情報 ゆえに教えず」
「本人と 確認するが 顔よりも 印鑑重視 おかしな話」
「印鑑が 違っています 訂正に 来いとお役所 私呼びつけ」
「融通の 効かない社会 イライラし 気持ち滅入って 情けないやら」