○違う道筋を行く・岩間地区(20-13)
双海町から高知県四万十市西土佐を目指す場合、双海町~大洲~鬼北~松野~西土佐というルート以外に、双海町~伊予市~川之江~須崎~西土佐という高速道路を使うルートがあります。後者は一見逆コースのような感じがしますが、時間的にはそんなに変わらないのですから高速はお金は要っても凄いもんだと思います。しかし昨日は途中の国立大洲青少年交流の家で「大人を考えるフォーラム」の実行委員会があり、思案した挙句時間が切羽詰っていたのでもう一つ別のルートを選んで走りました。それは双海町~大洲市~青少年交流の家~宇和町~歯長峠~三間町~松野町~西土佐というルートです。特に歯長峠の曲がりくねった道は私のような田舎者で狭い道に慣れていない人にはお勧めできませんが、このルートも最短距離のようで僅か1時間20分足らずで、お約束の午後6時には西土佐に到着しましたから今日の判断は正しかったとホッと胸を撫で下しました。
この10日余り天気が不安定で雨や雷に悩まされ、特に高知県や愛媛県南予では度々大雨警報が出され、前日も江川崎では時ならぬ大雨で列車の運転を見合せたほどでした。それでも季節は秋に向かって確実に進んでおり、朝晩は苦しめた暑さからも開放されて上布団を用意するほどになりました。宇和町では道沿いに沢山のぶどう園が巨峰の即売所を設けて、道行く人の呼び込みに懸命のようでした。この雨で観光ぶどう園のお客も少ないのではないかと、他人事ながら心配しています。
昨晩はこの仕事の元請けとなって毎回出席している雇用促進センターの石川さんたちと落ち合い、食堂で夕食をともにしながら話し合いをしました。同席した奥野さんの奥さんが似顔絵を書くらしく、私の絵を書いたと届けてくれました。多分この絵はインターネットに出ている観光カリスマ百選の紹介写真を基に書かれたようですが、特徴をつかんで書いており中々の出来栄えのようです。バックには夕日や夕焼けまで書く気配りです。
それにしても中々いい男じゃあないですか。一緒にいた皆さんは一応に「実物より男前」と言わんばかりの心境でした。
昨晩の会場は岩間という集会所でした。折から屋根を叩く雨足が強くなって、出鼻をくじかれた格好になったのか客の寄りは今一でしたが、それでも殆どの人がメモを取るなど熱心さでは負けないほどの迫力でしたので、こちらも思わず力が入ってしまいました。昨晩は係長さんが知らせていたのでしょか高知新聞の女性記者が同行取材していました。こうした地道な取り組みを外の目で取材して地域の人に知らしめることは大切な情報発信だと思っています。
昨日の岩間地区で面白いものを見つけました。地域に住んでいる人の年齢毎の名簿が一覧表のような形で張り出されているのです。最近は個人情報保護とかで名簿の取り扱いに何やかやと言う人が多いようですが、こうして公民館に張り出されると、「あそこのじいちゃんは近頃見んが元気なんじゃろうか」とか、あのじいちゃんはもう96歳か。相変わらず元気で畑仕事をしよる」とか、いつも集落に住む人の話題が出てくるのです。防災組織も大事ですが、過疎の地域でこうした近況の確認が出来ることはとても大切なことだと思いました。
昨晩は会議が始まるまでイノシシの話で盛り上がりました。せっかく実りを迎えつつあるサツマイモが昨夜被害にあったそうです。ニンジンも根こそぎやられたとお手上げの状態のようで、何か妙案はないものかと互いの知恵を確認しながら話していました。「田舎は過疎で人がいない分、「寂しいからとイノシシや猿や鹿が慰めに来てくれる」という言葉が印象的でした。
入口に早くから陣取っている人から久しぶりと声を掛けられました。そういえば見覚えのあると記憶を辿ると、カヌー館横の東屋で開いていた男の料理教室で出会った方でした。たった一回の出会いなのにもう10年来のような親しさです。「田舎はいいね」としみじみ思いました。山里にも早い秋が忍び寄って、道端の草むらからは賑やかな虫の声が聞こえていました。「今日はええ話しじゃった。若者にもこんな話は聞かせたい」と戸口を出る背中の向こうでおじさんが皆に向かって話していました。この地区でも計画されている道の駅のことについては関心がおありのようで、質問が出されました。
午前・午後の会議をこなして、ダブルヘッターならぬトリプルヘッターをこなし、少々お疲れモードでしたが、少し心にブレーキをかけながら夜道を125キロ再び引き返しました。
「普通とは 違う道行く 土佐参り カーナビ相手に 独り言いう」
「イノシシが おらの畑の 作物を 何か妙案 ないか尋ねる」
「やあ元気 いきなり声を かける人 見れば見覚え 田舎はいいね」
「熱心に メモ取り聞き入る 村の人 学ぶ意欲が ビンビン伝わる」