○夜神楽を見に行く
中国地方や九州地方に比べると四国愛媛には神楽はそんなに多くはありません。詳しいことは分かりませんが県指定の無形文化財は大洲柳沢藤縄神楽と、同じく大洲肱川山鳥坂の神楽だと思うのですが、先日その会長を務める富永さんから夜神楽見学のメールが届きました。愛媛県の無形文化財に指定されてから40周年だそうで、今年は記念大会だというのです。一昨年は妻を誘い清水さんと一緒に見学に出かけましたが、今年も清水さんから誘いがあり、年輪塾の井上登さんや青木晴美さんとも現地で合流し見学する予定で出かけました。
私はこの2日間、娘から二人の孫をあづかっているので、孫二人を乗せて山鳥坂へ向かいました。途中肱川の道の駅でトイレ休憩をして、請われるまま二人に雄のカブトムシを一匹ずつ買ってやりました。一匹150円とは安くお手ごろ価格でしたが、孫たちはおばあちゃんから貰った500円のお小遣いをポケットに偲ばせていたものの、私の財布から買ったため大喜びでした。
この頃から夕立のような雨がポツポツと落ち出して、何となく怪しげな雰囲気になりました。二年生になる孫朋樹は親と離れて帰ってリラックスしているものの、孫尚樹はやはりホームシックなのか、夜神楽の龍の話が余程効いたのかしんみりし始めました。
駐車場に車を止め、富永さんに奉納のために妻が用意したブールケースを渡すと、顔見知りも何人かいるため夕食会場に誘われました。うどんと握り飯、それに野菜の天ぷら程度でしたが、孫たちも喜んで食べさせてもらいました。
やがて元小中学校だった廃校になっている会場の座席を確保して、店開きした夜店で孫の求めに応じラムネ2本を買い求めました。かつてまちづくりセンターに出向していた沖田さんもボランティアとして売店で忙しそうに働いていました。やがて顔見知りの国会議員、市長、県議、市議などのお偉方が続々やって来て、その度にペコペコ組が右往左往していました。それもそのはずここは事業仕分けで物議を醸している山鳥坂ダムの最前線なのですから、野党与党を問わず一喜一憂するのです。
神楽に先立って神事や開会行事が延々と続き、6~7人の来賓がこれでもかと言わんばかりに壇上で挨拶をするのです。孫尚樹はそのころから空中に浮かんでいる龍の姿が気になって、腹に響く太鼓の音が聞こえる度に涙を流してシクシク泣き始めました。同席した清水さんが、「私たちが子どもの頃には怖いものが沢山あり、怖くてよく泣いたものです。感受性の強い子どもですね。いいことです」と持ち上げてくれましたが、青木さんが用意して持参してくれたお菓子に釣られて幾分悲しみは和みましたが、約束どおり夜神楽が始まって間もなく、後ろ髪引かれる思いで会場を後にしました。長年顔見知りの西田県議さんにプレゼントしてもらった焼きとうもろこしを一本食べ、一本はおばあちゃんのお土産にするといって持ち帰りました。帰りは肱川~内子~中山~翠小学校を経由して8時30分頃に我が家へ帰りました。
「夜神楽を 見物行くが 泣く孫に 負けて帰りぬ 川沿いの道」
「ダム問題 ゆえに政治家 やって来る 事業仕分けや 結果はいかに」
「とうきびを 県会議員 プレゼント 嬉し恥ずかし 恐縮千万」
「ああ今日も いいもの見たと 思いつつ 伝統守る 苦労敬服」