○伯方島のふるさと歴史公園
伯方島といえばどうしても行きたかった場所があります。それは今治から弓削島を目指す高速船の中からいつも眺める小高い丘の上にあるお城です。多分村上水軍ゆかりの中世の城郭を摸写して造った資料館か展望台だろうと思って下から上を眺めて、「いつかは訪ねたい」と思っていました。
昨日は都合の良いことに講演会が午後2時からで、息子との面会も終わったので見覚えのある木浦の船着場の道を通って車で坂道を登って行きました。季節は初夏といいながら少し肌寒さを感じながら頂上付近の駐車場に車を止め、城郭風の門をくぐりました。
くぐるといきなり、正面には城郭が、そして横には造船所が寄付をしたと思われる大きな4枚羽根の真鋳のスクリューが展示されていました。
看板にはふるさと歴史公園城門の故事来歴が書かれていました。木浦城は中世前期の城跡らしいのです。
注意書きに従ってスリッパに履き替えお城の中へ入りましたが、声をかけたものの人影も返事もなく、「入場料無料」と書いていたので早速中の展示品を見学させてもらいました。縄文土器や武具甲冑、民具、塩田資料、海運資料などまあ無造作ながら沢山の展示品があり、「これを無料で見せるとは」と内心思いましたが、いい資料が沢山ありました。
撮影禁止の看板も見当たらないので何枚か写真に収めました。
私が特に興味を引かれたのは古い塩田の写真でした。流下式塩田は天気率のよい瀬戸内で昔は何処にでも見られた光景でした。しかしイオン交換樹脂膜法という化学が発明されてからは衰退の一途をたどり、塩田は埋め立て転用されされたり車えび養殖場に生まれ変わったのです。重労働ながらも長閑な塩田の作業風景は、まるで東南アジアの様子のようでもありました。潮を運ぶカマスに紛れ込んで北海道からやって来たであろう塩田跡に生えたアッケシ草も今では絶滅しているそうです。
ふるさと歴史公園からの眺望はまるで描かれた絵を見ているような光景でした。
「見上げつつ 一度見たいと 思ってた 念願叶い 一人見学」
「『今日は』 声をかけれど 返事なく 勝手に入り そこら見学」
「無料です 書いた貼り紙 疑りて みたくなるほど 立派な資料」
「中世の 侍たちも 同じよな 風景見てた 何を思って」