○野に咲く一輪の花
寒かったり暖かかったりした今年の春もようやく終わり、わが家では西の国四国でありながら遅ればせながら、昨日石油ストーブを掃除をして倉庫にしまいました。気温の上昇とともに家庭菜園の夏野菜も一斉に成長し始め、キューリやトマトが早くも黄色い花を咲かせ始めていて、チェリートマトなどは早くも小さな実をつけ、畑へ行くのが楽しみになってきました。先日蒔いた金時豆もこのところの雨と暖かさで全て芽吹き、サトイモも土を割って芽が顔を出しているようです。
この季節になると散歩も楽しみの一つで、散歩は健康にいいばかりでなく周りの自然から沢山のことを気付かせてくれるのです。散歩をしていると車では出会わないゆっくリズムな人たちに出会います。例えば隣のおじさんは一年前家族の勧めで高齢という理由で免許証を警察に返上してしまいました。足を奪われた買い物の好きなこのおじさんは、駅前まで買い物に行くのに往復2時間もかかると嘆いていますが、一緒に散歩しながら私が疎い近所の話題をしっかりと提供してくれるのです。いずれ私も高齢になって免許証を返上すれば、このおじさんのように行動範囲が狭められるのだろうと、少し暗い気持ちになるのです。
歩くと車では味わえないものが目に入ります。私の散歩コースは裏山なので、道端に沢山の食べられる野草が生えています。今朝はその中からミツバを見つけ、芯と葉っぱを一束採りました。この時期の野生のミツバは香りがいいので、そうめんの漬け汁の薬味として、またかき揚げ天ぷらや味噌汁に加えても飛び切り美味しいのです。散歩の途中に摘んできたミツバは、妻がナイロンの袋に入れて冷蔵庫の野菜貯蔵庫に保管します。そうすれば1週間は重宝に使えると喜んでくれるのです。
今朝道端できれいな花を一輪見つけました。最近はデジカメと携帯電話についている万歩計をセットでズボンのポケットに入れて散歩をするので、一枚写真に撮りました。とてもきれいな黄色い花に見とれてしゃがんで見とれていると、傍を通りかかった若い人が、「きれいな花ですね」と話しかけてくれました。花が取り持つ縁というのでしょうか、ふたりでじっくりとその花を見ながらしゃがみこんで世間話に花を咲かせました。
花の名芽を調べるほどのこだわりはありませんが、それでもこれから咲くであろう道端の季節の花々に芽と心をやりながら、のんびりゆっくり日々を過ごしたいと思っています。
「野に咲きし 一輪の花 綺麗だと しゃがみ込んでは 話しかけるよう」
「ミツバ摘み そうめん薬味 重宝す 一輪挿しも 野の花活けて」
「俺以外 この花を見る 人もなし されど綺麗に 咲いて目を引く」
「何気なく 過ぎ行く時に 身を任せ ふと我かえる 花の一輪」