○山口県下関ぶらり朝の散歩②
ホテルロビーで受付の女性に「唐戸市場はここから近いですか?」と訪ねると、「歩いては遠くて時間がかかります」という答えでした。「どうしよう?」と思いつつ、記憶を頼りに海沿いの道に出て少し早足で歩きました。心配された雨も上がり、右手に見える関門海峡や対岸の霧にかすむ門司の建物を見ながら歩いていると、大きなモニュメントが見えてきました。前回下関を訪れた時は、その後すっかり有名になった海響館に至るこの辺は、原っぱ状態だったのにと思いモニュメントに近づくと、記念碑が建っていました。日本の英雄坂本龍馬と山口の生んだ英雄高杉晋作の二人を讃える文章が書かれていました。
「慶応元年の太陽が 東経百三十一度の子午線に燃え 戦う青春の交響詩が響く時 歴史の海流は天に向かって・・・・・」と書き綴っていました。坂本龍馬と高杉晋作といえば明治維新に活躍した人で、100年以上経った今でも全国にはその生き方に憧れる人がいるのです。
海響館を越えるとそこには小さな船着場があって、下関と対岸の門司を僅か10分足らずで結んでいるのです。ご存知関門海峡付近には宮本武蔵と佐々木小次郎対決の巌流島があって、観光船もここから800円で出ています。
(宮本武蔵と佐々木小次郎の巌流島の決闘)
唐戸市場は直ぐ後に関門海峡大橋を望む船着場の近くにありました。大橋は残念ながら霧にかすんでボヤーとしか見えませんでした。唐戸市場にはこれまでに2~3度来ていますが、この日は平常日だったため、また前日大雨が降ったため観光客は少なく、海鮮料理を食べさせるウッドデッキに面した、B級グルメのお店も散閑としていました。
(唐戸市場の向うには関門海峡大橋、右手には門司の街が霧にかすんで見えました)
(唐戸市場)
ウッドデッキの傍には、宣教師シスコ・ザビエルが初めてこの地に上陸した場所を示す記念碑が建っていました。長州藩ゆえ、あるいは薩長土肥ゆえ、歴史上に名を連ねた人ゆかりの人が多く語り継がれていますが、ややもすると見過ごしてしまいそうなモニュメントに歴史の重みを感じて立ち止まり、碑文を注意深く読みながら歴史の勉強をさせてもらいました。
(シスコ・ザビエル上陸地の記念碑)
(水族館海響館)
腕時計を気にしながら海響館の前を通り、下関タワーを目印に再び元来た道を引き返しましたが、携帯電話内臓の万歩計は早くも一日の目標である一万歩を既に越えていました。少し小気味良い汗をかいたのでホテルでシャワーを浴び髭を剃ってさっぱりし、少し長めの朝の散歩を終えました。
旅先では興味を持って積極的に歩くと色々なことに出会います。この日の朝もある意味坂本龍馬や高杉晋作、シスコ・ザビエルという歴史上の人物の生き方に触れました。また話題の唐戸市場や海響館も少しだけ感じることができました。これからも小さなついでの旅を続けようと思っています。
「一万歩 越えて散歩の 下関 久方ぶりに 足腰鍛え」
「長州は 明治維新の 舞台にて 歴史に学ぶ ことも多くて」
「本州と 九州繋ぐ 大橋も 霧にかすみて おぼろげながら」
「晋作が 辞世残せし 句を思う すみなすものは こころなりけり」