〇この5年間は一体何だったのか
人間牧場が出来て直ぐに、人間牧場の農場に色々な花木や種芋を植えました。その殆どが命のリレーを経て今日に至っていますが、3年前に植えた2年生のコンニャクの種芋も、10個植えそのうち1個は猪の被害に遭ったものの、後の9個は猪も見向きもせず順調に育ったように見えました。土の中のことゆえ「育ったように」と表現しましたが、昨年秋の育ち状態からみて今年の秋には収穫してコンニャクを作る計画でした。
今年も春の早い時期に芽を出したので、てっきり順調と思いきや何と何とこれは芽ではなく花だということが判明したのです。双海町で長年コンニャク作りに取り組んできた西岡栄一さんの話によると、コンニャクイモは6年くらいで成長が止まり、最後は花を咲かせて腐るのだそうです。
(コンニャクイモに咲いたコンニャクの花)
そんなこととは露知らず、今年こそはと手ぐすね引いていた私にとっては相当なショックで、「この5年間は一体何だったのか」と思わざるを得ないのです。こんなことになるのなら昨秋にコンニャク作りをすればよかった思っても時すでに遅し、後の祭りなのです。
でも悪いことばかりではありません。この花の咲いた親芋の周辺には小芋が幾つか育っていて、去年の秋には親茎の傍に子茎が幾つも確認されていて、それが親芋の恵みを得て大きくなるのですから、まあ大損でもないようです。
そんなこともあろうかと思って植えた訳ではありませんが、今年の春コンニャクの種芋を50個ばかり購入し人間牧場の畑に植えました。2年物なので忘れることなく3年後には彫り上げてこんにゃくを作りたいと思っています。
私は漁師の子どもゆえ百姓のことは知っているようで案外知らないことが多いのです。サツマイモのことも、梅を収穫することも、蕗のことも全て人間牧場を開いてから覚えたことなのですが、こいして失敗を繰り返しながら色々なことを学ぶのです。
失敗といえば今年のサツマイモの苗も大失敗のようです。今年は天候が不順で外気温が低く、曇天の日が多いため日照時間が極端に少ない春でした。ゆえに霜から守るために被せたビニールが災いして折角出た芽を枯らしてしまったのです。懸命に復旧のための措置を講じましたが、後遺症の影響で苗は大幅に遅れて成長、この分だと今月22日の作業には間に合いそうもなく、苗の購入を考えなければならないようです。
自然は中々私の言うことを聞いてくれないものだと、しみじみ嘆く今日この頃です。
「この五年 俺は一体 何したか 芋に花咲き 腐ってゆくとは」
「この秋に コンニャク食わす 約束も も少し待てと 断り入れる」
「四国ゆえ 冷害などは 考えぬ 芋づる枯れて 子ども失望」
「世の中は 失敗しつつ 学ぶもの この歳なって またも洗礼」