〇破竹筍湯がき
昨日の朝人間牧場での食事会にやって来た二人は、殊勝にも手土産を持って来てくれました。新居浜の人はサクランボを、中山の人は山の人らしく破竹の筍でした。人間牧場の作業や片付けを終って自宅へ帰ると、玄関先にナイロン袋に入れた筍がゴロリと転がされていたので、さてどうするか思案の結果、まだ陽も高いので庭の隅へ倉庫からかまどとはがまを持ち出し、湯がくことにしました。
まずは筍に包丁で割れ目を入れ、皮を剥いた筍を半分に切ってはがまに入れ、八分目くらい水を張りました。直ぐ裏山に分け入り、杉の小枝を寄せ集めて火をつけました。
かまどで筍を湯がくなんて、田舎ならでしかできない省エネだと苦笑いしながらの作業でした。火は順調に燃え、筍も1時間ほどで順調に茹で上がりました。そのうち妻が外出先から帰って来て、私のやっている作業を見るなり「中々やりますね、ガス代も要らないし」と、むしろガス代を節約できたことを喜んでいるようでした。夕方までそのままにして蒸して置きましたが、荒熱が取れたところで筍を容器に取り出し、外の水場に持って行き、昨日の夜は一晩中出水で灰汁を取りました。今朝起きて水場を覗いて見ましたが、破竹の筍は美味しそうに水の中で、食べられるのを待っているようでした。今夜辺り食卓に上ることでしょう。
ところで、孟宗竹の筍は春先ですが、破竹の筍は今が旬のようです。歯応えのある孟宗竹筍に比べ、破竹の筍は見た目には竹を食べるような感じがしますが、柔らかくて煮物にすればまさに初夏の味といった感じです。「破竹の勢い」という言葉のとおり、一夜一日のうちに伸びた筍を、途中からポキンと折って収穫するようです。さすがにもうこの歳ですから、筍にあやかる「破竹の勢い」は、望むべきもありませんが、息子や孫に食べさせてあやかって欲しいと思っています。破竹の筍を湯がきながら、田舎の暮らしの楽しみ方を見つけた感じのするいい一日でした。
「手土産に 貰った破竹 筍を かまど持ち出し 長閑に湯がく」
「ガス代が 要らないからと 妻笑顔 俺の苦労を 誉めて欲しいな」
「のんびりと 時の流れに 身を任せ 田舎暮らしを 大いに楽しむ」
「もう私 破竹の勢い 望んでも できぬと諦め それなり生きる」