人間牧場

〇最近の町内街中事情(その2)

 わが家の細長い家庭菜園の一番端に隣接する、道を挟んだ田圃が最近変化しています。保育園に孫を連れて行く時通る道沿いなので、明暗分かれたその様子に驚きを隠せません。一方の田圃は今年から田植えを断念し荒地になりました。山田圃の多いわが町の耕作事情から考えれば、コンクリート畦で仕切られた田圃は、畦刈りや水の心配もなく何とも羨ましい感じですが、その田圃すら作り手の高齢化と高額な稲作設備投資の前に辞めざるを得ないのです。作り手のいなくなった田圃は哀れで草は伸び放題、置いた古い農機具や廃材もやがては朽ち果てることでしょう。この光景に心を痛めているのは私たち通行人だけではなく、当の本人が一番悔しい思いをしていて、作り手を捜しているようですが中々見つからないようです。

田圃の跡地に綺麗な花が咲きました。
田圃の跡地に綺麗な花が咲きました。

 一方その反対側の田圃は、牛乳屋をしていた夫婦が高齢になったのを機に廃業し、兼業で作っていた田圃を一昨年から作らなくなりました。やはり高齢と稲作設備への投資が引き金になったようですが、花の好きなその夫婦は、色々な花を植え始めました。かなり広い田圃なので花を植えても雑草との戦いは続くだろうと見ていましたが、どうしてどうしてこれまでの農作業で培った腕前を活かして、この3年間でものの見事な花畑に変身させました。立ちアオイやアジサイ、ショウブ、ゼラニューム、バラなど、今が一番の見ごろとばかりに満開の花を道行く私たちに、結構楽しませてくれているのです。花より団子が団子より花に見事に変身しました。自家に隣接した場所でもないのに、こうしてミニな花公園を作っている姿は感動ものです。

 昨日孫を保育園へ迎えに行った帰り、花の中の雑草を汗をかきながら取っている夫婦に出会い、「勢が出ますね」と声をかけると、少しの間私との対話が始まりました。私も昨年人間牧場へアジサイを植え始めたので、珍しいアジサイの花々に話が及びました。聞けばアジサイをこのように美しく咲かせるのには、花が終わった7月10日ごろ剪定をするのだそうです。その時期になると剪定した茎を挿し穂としていただくことも約束してくれました。人間牧場のアジサイも同じように7月中旬には剪定しなければならないことを納得した次第です。毎日速いスピードで飛び交って蜜を集めるわが家の裏で飼っている蜜蜂たちも、この花の恩恵を受けているかも知れないと思いつつ、今年蜂蜜を収穫したら差し上げたいと思ったりしました。

  「登園の 道を挟んだ 田圃見て 変化に気付き 心を痛め」

  「荒れ田圃 やはり寂しい 姿かな 無造作置いた 農機具錆びて」

  「団子より 花とばかりに 変身し 花の公園 作りし夫婦」

  「十年は 人も地域も 変化させ 一方ポジティブ 一方ネガティブ」

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