○暑中見舞いから残暑見舞いへ
立秋が過ぎると私宛に届く季節の頼りも、暑中見舞いから残暑見舞いへと変化して、外は連日の猛暑で立秋を感じさせないもののやはり季節の移ろいを感じるのです。先日講演で訪ねたものの急な思いつきで出会いが叶わなかった大月町の堀光恵さんから、見覚えのある風景の盛夏見舞いをいただきました。よくよく見ればご存知わが町の下灘駅から見た夕景なのです。「素敵な写真だと思い使わせていただきました」と注釈をつけていましたが、確かにこの写真には夏から秋へと心が動く一服の清涼剤のような清々しさを感じることが出来ました。
さて、もう一枚はご存知定形外の親友玉井さんからのはがきです。玉井さんは裏も表も全てを使う人で、表書きにはご存知宮沢賢治の雨ニモ負ケズを引用した夏の近況、と私が毎月駄作を投句している五行歌の作品督促でした。
私は玉井さんの作品ともいえるはがきが大好きで、いただいた殆どは大切に保存しているのです。このはがきを貰う度に、「こんな絵が書けたらなあ」と、絵心も書心もない平凡な自分を嘆くのですが、まあ平凡な私にだって自分が気付かないだけで、何かとり得はあるだろうと思いつつやり過ごすのです。玉井さんの面白さは茶目っ気で、雨ニモ負ケズを自分の日々の暮らしにアレンジして、「閑人モ多忙ニ暮シテイマス」と結んでいました。
はがきの裏は北原白秋の「柳川風俗詩」に涼しげな柳川掘割めぐりの絵を添えていました。右隅には水面に垂れ下がる柳をあしらっていて、掘割の水とマッチさせて清涼感を出していました。このはがきを貰う度に私は妻にはがきを読んだり見せたりするのですが、いつも「凄い」と感心したり、「玉井さんは面白い人ね」と、思わず大笑いしてしまうのです。
暑い暑いといってもお盆が過ぎると朝夕見える海の景色もどこか秋めいたような感じがするのです。昨日はマネジメントスキル講座に参加している尾崎益善さんから人間牧場で小さな米袋をいただきました。聞けば早場米産地に住む尾崎さん宅では既に稲刈りを終わったとのこと、2kg入りの新米を二つもいただきました。今晩は早速新米のコシヒカリを食べて見たいと思っています。
「秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども 届くはがきに 秋の気配が」
「絵心も 書心とても ない私 とり得なしとて 自分嘆くな」
「早場米 土産いただく 今晩は ご飯に炊いて 妻と食べよう」
「見上げれば トンボが群れて 遊びけり 季節動きて 下るを感ず」