○一字違いの大間違い
地域づくりの現場では一字違いの大間違いが時々あります。まちづくりは人づくりとよくいわれますが、「人材」という言葉もよく使われるものの、パソコンで「じんざい」を入力すると、「人材」「人財」「人在」など様々な言葉が出てきます。中でも変換ミスともとれる「人罪」という言葉は、「人材」や「人財」と思っていても、手を引っ張りどころか人の足を引っ張る「人罪」だったりすることがよくあるのです。これはまさに一字違いの大間違いだと思うのです。これと同じような言葉に「若者」と「馬鹿者」があります。「わ」と「ば」だけの違いなのですが、今の若者はどちらかというと清新ではつらつとした活力に欠け、若年寄的な感じがする若者も多いようです。
私の友人で広島三次市に住んで地域づくりをやっている和田芳治さんはこの一字違いを活用した言葉遊びをやっていて、面白い造語を次々と作り楽しんでいます。「市民」を「志民」と表現している言葉は、単なる言葉遊びではなく、参画と共同の社会では志ある市民こそ本当の市民だと思うのです。
先日私の出版した「夕日徒然草・火の書」の表紙を見て、ある友人から電話がかかってきました。「表紙の落伍家『夕日亭大根心』高座本とある落伍家は落語家の間違いではありませんか?」というのです。私が落語と落伍の違いをお話して納得してもらいましたが、やはり一時違いは気になったようです。
3日前講演で高知県に行きました。高知県は珊瑚の産地で、観光地と名の付くところには珊瑚のアクセサリーがショーケースに入れられて販売していました。買う気もなかったので何気なく陳列ケースの中を覗き込み、薄くなった目を細くして、いち、じゅう、ひゃく、せん、まんとゼロの数を数えてため息をついていました。
都会から来たとおぼしき若い女の子が店員さんに、「これ下さい」と店員を呼んでいました。店員さんはショーケースから取り出した8万円の珊瑚のブローチを丁寧にラッピングして、「お代は8万円と消費税で8万4千円です」というと、若い女の子は急に青ざめて、「すみません。8千円とばかり思っていました。ゼロを一つ間違えたようです」と顔を真っ赤にして平謝りしていました。
一字違い、一桁違いはよくある話です。総会などで予算書や決算書の数字を桁を違えて読み間違えたり、文字を言葉にする読み間違えも沢山あります。その度にその人の知識の度合いや値打ちのようなものを感じたりするのです。
間違いは誰にでもあることだし、間違いは素直に認めて訂正することが肝要です。和田さんや私のようにあえて間違わせて考えさせる手法は、下手をすると見くびられることにもなりかねませんが、まあ言葉遊びのつもりでコンセンサスならぬ「混戦さす」ことも面白いと思うのですが・・・・。
「人材と 人罪違う 足だけは 引っ張らぬよう したいものです」
「ゼロ一つ 省略すれば 安いもの 売り手と買い手 微妙な差あり」
「これからはただの市民じゃ もの足らぬ 志民になって 町を引っ張る」
「若者も 暴走すれば 馬鹿者に なるのですから 気をつけましょう」