○お寺そしてまたお寺の寺巡り
日本最古のお寺といわれる飛鳥寺に立ち寄りました。本尊は推古天皇が聖徳太子や蘇我馬子と誓いを立てて発願し鞍作鳥によって造られた日本最古の仏像といわれる飛鳥大仏です。当時は高さは3メートル、銅15トン、黄金30キログラムを用いて作られました。平安・鎌倉時代の大火災で全身羅災し、後補を受け現在に至っています。寺社仏閣に余り詳しくない私にはその価値は計りかねますが、他のお寺の本尊とは少し趣が違っているようでした。
時間を気にしながら一日目最後の訪問地である、国内で最初に世界遺産に登録された法隆寺に目指しました。お寺さんは参拝や拝観が5時までとなっているため、急ぎ足で法隆寺の中へ入りました。しかし既に入り口ではお参りにかなり時間がかかるため、オーダーストップのような形で入山不許可となってしまいました。仕方がないのでお願いし、私だけが入り口のゲートをくぐって五重塔と金堂の写真を2枚撮らせていただきました。
法隆寺を訪ねたのは中学三年生の時の修学旅行以来ですから実に50年ぶりなのです。あいまいな記憶をたどりましたが、残念ながら当時の記憶は完全に消え失せていました。松山出身の俳人正岡子規が「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」という句を残していて、俳句王国に住む私たちには馴染みの深い寺なのです。
仕方がないのでお寺の境内を30分ばかり散策しましたが、境内も午後5時30分には締め出されてしまいました。
境内のあちこちには桜がまだ残っていて、桜の花の美しさと松の緑の清々しさに映える法隆寺の五重塔はやはり世界遺産に登録されるだけのことはあると、その重厚な佇まいに納得しました。
さあここから今回の旅のお目当てであった奈良の世界遺産を巡る旅の始まりです。目を凝らし、心を開いて日本が世界に誇る古都奈良に世界遺産をじっくりと目と心に焼き付けたいと思いました。
「半世紀 ぶりに訪ねし 法隆寺 昔の記憶 思い出せずに」
「桜咲く 五重塔の 夕間暮れ 訪ねし人も 足早去りて」
「法隆寺 日本最初の 遺産にて 胸張り我も 世界に誇る」
「雑念を 払いて 境内 散策す 清がしき心 何かを悟る」