〇次男息子の慶事(その2)
ホテルの一室にはフカフカの座布団が床の間に向かってそれぞれ4つずつ置かれ、決められた順番に座り、結納の儀式は息子の親父である私の「本日はお日柄も良く・・・・・」というあいさつで始まりました。その後目録を相手女性のお父さんに渡し、お父さんのあいさつを受けて袴料という目録を頂き、略式ながら結納の儀式を目出度く終えることができました。
正装した次男と和服姿の相手の女性はいつになく緊張した面持ちで、結納の儀式をこなしてくれましたが、最後に息子が相手の女性の白い指に婚約指輪を入れるころにはすっかり打ち解け、満面の笑みを浮かべてとても嬉しそうでした。勿論両家の母親は若い二人よりも感動した様子で二人を見守り、お仲人さんからの祝辞にじっと聞き入っていました。そのうちお祝いの桜茶がホテルから振る舞われました。
しばらく歓談した後、飾った結納の品々を元に戻して箱に収め、風呂敷に包んで別室の祝宴会場へ移りました。結納の祝宴は女性側の家が取り仕切るようなので、相手のお父さんがあいさつし、ご指名を受けた私が乾杯の音頭を取って祝宴が始まりました。お目出度い席なのでお目出度い食べきれないほどの料理が並べられ、和やかな祝宴は2時間ばかり続きました。二人のこれからの暮らしや11月の結婚式の段取り等、話は山ほどあって、2時間があっという間に過ぎました。
一件落着といった感じで結納の儀式や祝宴を無事終えましたが、妻の心配は早くも三男の縁談の話に及び、帰宅の途中の車の中はその話で持ちきりでした。幾つ歳を重ねても親の悩みは尽きないようです。帰宅して少し耳の遠くなった親父に、次男の結納のことを話してやると、親父も大層喜び、「後は末っ子の結婚じゃなあ」と、自分のことも省みず心配している言葉を返してくれました。何はともあれわが家にとって、昨日は次男の慶事でとてもいい一日でした。
「縁結ぶ 婚約指輪 白い手に 入れて桜茶 ほのかに香る」
「結納の 祝宴和やか アルコール 抜きでもどこか 酔った感じで」
「わがことの ように喜ぶ 親父見て 嬉しくなりて 目頭熱く」
「半年後 結婚式が 楽しみだ それまで親父 元気でいてと」