〇「実を見て木を知れ」というが?
数日前全国の友人に向けて、今年最後のポンカンやデコポンといった雑柑を10箱も送りました。いつも季節のものを送ってくれる友人たちが全国には沢山いて、これでは足らないのですがとりあえず今回は10人にげんていしました。送ろうとして荷造りをしている所へ一個の宅配便が届きました。あて先を見ると年輪塾塾生の大河内結子さんからでした。蜜柑を送る所に蜜柑が届くのは変な話ですが、わが家から送るポンカンやデコポンは全て知人で近所の農家から買い求めるため、わが家が食べるポンカンやデコポンも全てそこから買っているのですから、大河内さんから届いたイヨカンはわが家にとって今年最後のイヨカンとして、夫婦が大事小事に毎日夫婦がそれぞれ一個ずつ、朝フルよろしきを得て美味しく食べているのです。
大河内さんたちは朝フルと称して朝新鮮な果物だけを食べる運動を推奨しています。リンキャベの朝食をもう20年以上にわたって続けている私は理解できるのですが、この運動を定着させるには中々骨が折れるようです。大河内さんから届いたイヨカンは桜イヨカンといって、桜の咲く季節まで貯蔵しているため、外観の色は深いオレンジ色、そして味も酸味よりも糖度が乗ってとても美味しいのです。私たちの町でもイヨカンを作っている人はいますが、これほどこだわって美味しい味に仕上げている人は殆ど見当たらないようです。
ひところイヨカンの品種である宮内イヨカンや大谷イヨカンは注目を集め各農家が競って栽培していました。ところが果汁が多く手が汚れて食べにくい難点からか、消費が思うように伸びず、デコポンやポンカン、それにハルミや清見などの雑柑に押されて、次第のその収穫量を減しているようです。
でもイヨカンの味と香りはたの柑橘類には引けを取ることはないと、大河内さんから送られてきた桜イヨカンを食べながら思うのです。果実を食べて手が汚れれば洗えばいいし、それくらいの努力をしない人は柑橘類を食べる資格がないのです。
一昨日日曜市の世話をしている森田イチさんから、晩成の蜜柑が届きました。「えっ、今頃みかん」と驚きました。外観は干からびてしわだらけになっていましたが、これが何と美味しいのです。自家用に貯蔵していた酸味の強い蜜柑も、こうして長く貯蔵すると酸味が糖度に変わり、甘さ抜群となるのですから、吊るし柿の渋が糖度に変わるような面白い変化なのです。
わが家はみかん所だけあって、このところ様々な柑橘類に囲まれて暮らしています。知人や友人が「お食べんか」と言って持ってきてくれるのですが、この時期ゆえに雑柑類の味を堪能しています。
格言に「実を見て木を知れ」という言葉があります。「この実はどんな木に?」と思いを巡らせるものの、蜜柑の木を見ても残念ながらその気を識別することは出来ません。何故なら蜜柑の台木に別の品種を高接ぎすれば、2年後にはその品種が成り始めるのです。農家はいい品種が出回り始めるといち早くその穂木を求め高接ぎして増産するといった作業をこの20年間繰り返していて、農家自身でさえ一見で「実を見て木を知る」ことすら出来ないのです。何はともあれ今朝もこれから大河内さんから届いた桜イヨカンを朝フルしながら、桜の花びら舞う春を楽しんでいるのです。
「仲間から 届いたイヨカン い~予感 桜と命名 味を楽しむ」
「実を見れど どんな木々に 実をつける 知らぬ存ぜぬ 美味けりゃいいわ」
「今年又 届いたイヨカン 箱開ける 友の匂いが ぎっしりつまり」
「サプリなど 食べないけれど ビタミンC 蜜柑で充分 お陰で元気」