○久しぶりの県庁
退職をして5年近くが経ちました。小さな田舎の役場に勤めていたころの私は暇さえあれば県庁に出かけ、様々な部課に顔を見せていました。県庁に顔の広かったと思われる私はそれぞれの部課でそれぞれの人と面識を持ち、国⇒県(本庁⇒出先地方局)⇒市町村という上下関係の要にあった県を介して幾つもの仕事をこなしてきました。晩年は国⇒市町村という県を通り越して国と直接仕事ができる時代になって、幾分県の役割は薄らぎましたが、それでも財政的にぜい弱な小さな町は、それぞれの時代に県の力を借りながら見果てぬ夢を実現してきたのです。
退職後も県庁には知人友人が沢山いて、加えてえひめ地域づくり研究会議の代表運営委員をやっていたこともあり、全国大会の実行委員長や、沢山の委員に就任していたため県庁へはしょっちゅう顔を出していました。しかし今年の春代表運営委員を辞したのを機にどこか県庁の敷居が高くなって次第に遠のいて、最近は11月の初めに県庁へ出かけて以来1ヶ月余り顔を覗かせていなかったのです。
昨日は私が委員に名を連ねている愛媛海区漁業調整委員会があり、いつものことながら長年通ったえひめ地域政策研究センターへ顔を出しました。久しぶりに森川所長さんと込み入った長話をして会議出席の時間がきたのでお暇をする時、森川所長さんから、市町振興課長さんが変わられてから顔を出していなの、市町振興課へ顔を出すよう勧められました。そういえばご愛顧いただいた前任の北村課長さんが古巣の東京へ帰ってから出かけていないことに気がつき、委員会終了後県庁へ行きました。
東京から来られている市町振興課長さんは、運よく在席していて宮内補佐とご一緒に面談することができました。第一印象は若くて好感のもてる課長さんでした。取りとめもない無位無官な私の四方山話にも耳を傾けていただき感謝して市町振興課を出ました。
久しぶりと言いながら、階段や廊下やロビーで三座真菜懐かしい人に会い立ち話をしたり、部課へ呼び込まれました。生涯学習課と県民活動推進課へは来年早々に会議や集会や予定されているため少し長めのあいさつをしましたが、後はあいさつ程度で10課も回り、あいにく午後6時からの忘年会に遅れるところでした。
夜の会には農林水産部長さんや水産局長さん、水産課長さん以下課員の皆さん、号業関係団体長も参加されていて、これまた昔話に花を咲かせながら楽しいひと時を過ごしました。昨日は水産関係の忘年会らしく高級魚真ハタづくしのフルコースに舌鼓を打ちましたが、長年まちづくりの世界で生きてきたため、殆どの人が私の顔と名前を覚えていていただき、嬉しさと照れの交錯する中で旧交を温めました。
年齢的にも役職的にも仕事の邪魔をするような行動は慎むべきだと思って、最近足が遠のいていた県庁でしたが、やはり訪ねて行く価値はあるなと勇気を与えてくれた一日でした。
「久しぶり 県庁歩く 目の前で お元気ですか 声をかけられ」
「何となく 敷居の高い 県庁も 考えひとつ 身近存在」
「指折って この日出会った 人の数 数えて見るが 指では足らぬ」
「一日で 五十枚もの 名刺消え あいにく恥を かくとこでした」