shin-1さんの日記

○土佐人から学ぶ人間学の勧め

 このところ何故か高知県へ行く機会が多くなり、何を意味するのか出会った人の顔を思い出しながら考えてみました。四国には太平洋に面した高知・徳島と瀬戸内海に面した香川・愛媛の四県があるのですが、やはり風土でしょうか、四国四県とも人間性はまるで違うのです。

 高知といえば板垣退助、岩崎弥太郎、大町桂月、河田小龍、幸徳秋水、武市瑞山、寺田虎彦、中江兆民、中岡慎太郎、中浜万次郎、浜口雄幸、牧野富太郎、吉田茂など私のような凡人でも頭に浮かぶ人は多く、明治維新以来多士済々です。私は愛媛県人なので、愛媛が生んだ人々の名前を思い出そうとするのですが、残念ながら正岡子規くらいしか頭に思い浮かんでこないのです。しかしこのように全国的に見ても有名な人は多いのに、高知県の経済成長率は日本でも最下位クラスに甘んじているし、第一次産業に頼る高知県では所得も決して高くないのは何故なのか、大いに疑問のあるところなのです。多分ローカルよりもグローバルを望む人が多いのかもしれません。

 何年か前、高知新聞社が出版した「土佐人」という本を友人からいただいて読んだことがありますが、その本には他県から見た土佐人の印象が書かれていました。

 ○反骨精神が旺盛である。

 ○豪放で太っ腹である。

 ○明るくて荒々しい。

 ○スケールが大きくて、すぐに天下国家を論じる。

 ○男性的な土地柄である。

 ○人間の線が太い。しかし繊細な神経と人情の篤さも持っている。

 ○個性的で、付き合うほど味が出てくる。

 ○野党精神に富んでいる。

 ○理屈っぽい。

 ○酒好きではしゃぎ過ぎる。時には傍若無人と誤解される。

 ○我が強い。俺が俺がの姿勢が出過ぎる。

 ○自滅を恐れない。

 ○難しい時代になると血が騒ぐ。

 ○頭がよく機転がきく。

 なるほどとこれらのことを当てはめて、知人友人の顔を思い出しながら考えてみましたが、死して今もなお日本のヒーローであり続ける坂本龍馬の人格や成し得たことを思うと、まあこのイメージにピッタリなのです。私も若いころから坂本龍馬にある意味憧れ、強い関心を持って生きてきました。このところNHK大河ドラマの龍馬伝ブームで、再び坂本龍馬にスポットが当たろうとしていますが、私の関心は今のところむしろ陰に隠れたジョン万次郎の方へ向いているのです。

 高知には年輪塾のメンバーに四万十市西土佐村の和田修三さんや、馬路村の木下彰二さん、それに依光女史もいますが、前述の土佐人気質を沢山持っていて、それが彼や彼女たちの魅力なのです瀬戸内海側に位置する愛媛県人が持ち合わせていない土佐人の人間学をこれからも彼や彼女を通じて学んで行きたいと思っています。


  「行く雲に 俺の生き方 問うてみる 意の向くままと 答え返らず」

  「海を見て 育った俺は ひょっとして 土佐のいごっそ 交じっているか」

  「龍馬より ジョン万次郎 ピッタリと 足摺岬 何度も訪ね」

  「酒好きな 土佐人気質 大好きで お陰で体 壊してしもた」


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shin-1さんの日記

○昨日は高知刑務所に招かれ衝撃的な一日でした

 「私は呼ばれたら刑務所以外どこへでも行きます」なんて戯言をいつも言っていますが、昨日は今年最後の講演の締めくくりとして、こともあろうか本当に刑務所から招聘があり出かけて、衝撃的な一日を過ごしました。元々は四国管区の少年刑務関係の研修会が10月に松山であり、その折私の話を聞いた高知刑務所の所長さんが、是非わが刑務所の職員にも聞かせたいということで依頼があったのです。縁とは不思議なもので、高知刑務所の所長さんは、私の母方の従兄がかつて刑務所長をしていた頃の同僚だったそうで、行く前に連絡が入りくれぐれもよろしくとの伝言を携えてのお出かけでした。

 トヨタカローラアクシオをこの秋購入してから少しの間は慣れないこともあって、遠出を遠慮して公共交通機関を利用していましたが、徐々にな慣れて最近は鳥取、岡山、広島などへ遠出し、高知へは四万十市、黒潮町に続いて早くも今回が三度目なのです。使い方も少し慣れたカーナビに「こうちけいむしょ」とひらがなで目的地入力して音声案内をセットして出かけたため、前もってインターネットのヤフー地図情報で調べプリントアウトしたものは見ることもなくカバンにしまったままでした。伊予インター~川之江ジャンクション~南国インターまで乗り継いで高知刑務所へ到着したのは講演会が始まる2時間弱も前の3時40分でした。扉が閉まり守衛のいる検問所で、「講演を頼まれてやって来た愛媛県伊予市の若松と申します」と告げると、担当の方が検問所まで迎えに出てくれ、案内されて生まれて初めて刑務所内に入りました。

 早速2階の所長室に案内され、名刺交換してお茶をいただきながら面談しました。しばらくすると所長さんから刑務所内の見学を勧めていただきました。刑務所内の規約により携帯電話などの不必要なものは所長室へ置き、いざ見学スタートです。高さ4.5メートルもあるコンクリートの塀も中から見るととても高く感じられました。通じる扉を開ける度にそこにいる刑務官が所長さんに敬礼して、大きな声で受刑者の人数と状況を報告するのですが、そのテキパキした動作に厳しい鉄壁の守りを感じさせました。

 刑務所内は作業をしている姿や夕食の姿など、一日の終わりの姿が所長さんの案内によって手に取るように分りました。一番の衝撃は週2回という入浴シーンでした。今年の春見学に訪れた網走刑務所ミュージアムで見た光景とまったく一緒で、受刑者が僅か15分の入浴を一糸乱れず並んで入浴している姿には身震いするほど緊張しました。

 また独房や受刑者が暮している監獄の様子を直に見る機会など初めてなので正直衝撃の連続でした。この日は夕方になると今年一番の冷え込みのようでしたが、受刑者の暮しは暖房などは一切なく、また一般社会の人と情報から隔絶された監視付きの社会の厳しさも垣間見ることができました。ここの受刑者は再犯歴のある37歳以上の年齢の高い受刑者だそうですが、この冬の厳しい寒さに眠れぬ夜を過ごしているのかも知れません。人はなぜ罪を犯すのか、受刑者はなぜ罪を繰り返すのか、そんなことを刑務所内の光景を観ながら自問自答しつつ貴重な刑務所内の見学を終えました。

 所長さんから「いかがでしたか」と感想を聞かれましたが、もう言葉が出ない程目茶苦茶緊張し、目茶苦茶衝撃を受けました。テレビや映画のドラマである程度の知識は知っていますが、そんな浅はかな考えはいっぺんに吹っ飛んでしまいました。

若松進一ブログ
(許可を得て講演会場で2枚の写真を撮りました)
若松進一ブログ

 講演会は刑務官の仕事が終わってからの午後5時30分から、刑務所内の古い講堂で行われました。日ごろは火の気のない寒い場所ですが、この日は大きなストーブが持ち込まれ、ステージには私のために小さなストーブも用意され「新しい発想で生きる」と題した話をさせてもらいました。刑務官は日ごろ笑いのない勤務です。しかも縦社会の厳しい命令一下で暮らしているため、80人全員が静座して身じろきもせず聞いてくれました。その点乗りは今一でしたが、それでもこちらも思い切ってお話をさせてもらいました。

 道の横に雪が残り、時折吹きつける寒風を感じながら高知と愛媛の峠を越えて高速道路をひた走り、9時前にはわが家へ到着しました。昨日はそんなに時間は経っていませんが、とても長く感じた私の記憶に残る一日でした。

 

  「刑務所で 講演するとは 驚いた 記憶に残る 一日でした」

  「高い塀 中から見えぬ 閉ざされた 厳しい暮らし 想像以上」

  「悪いこと してはならない ことだけど 罪を重ねる 人の愚かさ」

  「講演を 終わりて塀の 外に出る 自由の意味を 改めて知る」

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