○ミッキーマウスのアイディアは屋根裏部屋で生まれた
メキシコに端を発した豚インフルエンザはある意味、他のインフルエンザと同じように処置さえすれば死には至らないということが分かりかけてきて、学校休校までして感染を防いだガードが解けつつあることは嬉しい限りです。この2ヶ月豚インフルエンザに翻弄し続けた国内事情を思うと、これからも何が起こるか分からない不透明な時代を生きることへの不安がつきまとうのです。
春先は修学旅行の季節でもあります。小学校は近場で一泊二日、中学校は京阪神へ三泊四日、高等学校は一週間程度首都圏とそれぞれ修学旅行が計画され、高等学校によっては海外までも足を延ばすプログラムが組まれているようですが、豚インフルエンザの影響で特に海外は中止を余儀なくされていますが、休校措置の解除によって修学旅行も復活の兆しを見せているようです。
修学旅行は行動範囲の狭い子どもたちにとって視野を広げる唯一の機会であり、子どもたちも学校生活の中で一番思い出に残る行事として楽しみにしているはずです。私たちの住んでいる四国からは東京はまだ遠いので、高校生しか東京へは行けませんが、子どもたちのとって楽しみの一つは夢の世界と思える東京ディズニーランドへ行くことなのです。かつて建国200年のアメリカへ総理府派遣青年の船で行ったとき、ロスアンゼルスのディズニーランドに立ち寄りその規模と発想に度肝を抜かれた記憶がありますが、子どもたちはテーマパークである東京ディズニーランドを憧れの地と思っているのです。
私はもう30年も前に本場アメリカのディズニーランドで、ウォルト・ディズニーの話を聞きました。ディズニーは若いころ画家を志していたそうです。貧乏なためガレージの屋根裏に住んでいましたが、その屋根裏部屋にあるとき一匹のネズミがやってきました。ディズニー気が散るから追い払おうとするのですが子ネズミは懲りずに顔を出し、その愛くるしい姿にやがてディズニーはパン屑を与えるようになったのです。するとネズミの一族が集まりだし、ディズニーはネズミの生態や動き方に興味が出てそれを描くようになったのです。そんな時ハリウッドの映画会社から漫画を依頼され、ネズミを主人公にした奇抜なアイディアを思いつきました。これが「ミッキーマウス」の誕生となったのです。ディズニーはそのことがきっかけで成功への道を歩むことになるのですが、その裏には様々な苦労があったようです。でも人の嫌がるネズミを主人公にして子どもたちに夢を与え続けているディズニーは凄い人だと思うのです。
今回の豚インフルエンザ騒動によって京都など修学旅行のメッカでは、修学旅行のキャンセルが相次ぎ、ただでさえ不況風の吹く観光業界に大きな損失を与えているようです。修学旅行には先進地と目される首都圏やテーマパークを目指す場合と、四万十やしまなみ海道のようなふるさと回帰を目指す場合と、それに原爆ドームや安芸の宮島をセットにした世界遺産を訪ねる場合など様々ですが、子どもたちにとって修学旅行は何を意味するのか、豚インフルエンザで延期を余儀なくされたこの時期だからこそ、修学旅行の持つ意味をそろそろ考え直す時期に来ているのかも知れません。
ポケットに入れた僅かばかりの小銭を握りしめて土産物売り場を右往左往した私たちが子どもの頃とは違い、子どもたちだけがグループを組んで自由行動する自立型のプログラムも増えてきました。家族旅行が主流をしめ、修学旅行までにディズニーランドを経験している子どもたちにとってディズニーランドは最早い文化ギャップを感じる場所ではないようです。
「三十年 前にミッキー 会ったとき 度肝抜かれた 記憶忘れず」
「ディズニーは 屋根裏部屋で ミッキーを 考えついて 子どもに夢を」
「夢誘う はずの旅行も 不意打ちの 豚のインフル 中止余儀なく」
「非日常 だから感動 するのです パパと行ったと バスから降りずに」