shin-1さんの日記

○結婚式の引き出物

 警察官をしている息子が友だちの結婚式に出席するため帰ってきました。妻にしてみれば県内に勤務し県内に住んでいながら年に一、二度しか帰省しない息子なので、色々と話もしたいし美味しいものも食べさせたいと思っていたのでしょうが、結婚式が終わると友人たちに会いに出かけ、暇さえあれば日頃の疲労を癒すようにゴロンと横になって寝ているのです。妻にとってはこれが不満のようで、仕事の話や結婚話などちょっかいはかけるものの、相変わらず心がかみ合わないまま帰って行きました。

 息子は結婚式でいただいた引き出物も全て家に置いて帰りましたが、最近の引き出物はカタログ本の中から選んで同封の葉書を投函すれば早速ギフトの会社から商品が送られてくるのです。妻は虫眼鏡でカタログをめくりながら「お父さん何にする」と相談を持ちかけられましたが、考えも浮かばず「お前に任す」であっさり幕が引かれました。

若松進一ブログ
(送られてきた結婚式の引き出物の寝袋)

 数日後一個の宅配便が届きました。はてさて誰から?と思って開けてみると、中から寝袋が出てきました。妻はギフトを選ぶことができず、結局帰宅した長男に選んでもらったところ、「お父さんの人間牧場で使う寝袋にしたらどうか」と助言を受けての注文と相成ったようです。

 人間牧場の水平線の家には屋根裏部屋のような寝部屋があって、夏になると物好きな人たちがやってきては酔いつぶれて泊まるのです。殆どの人は寝部屋どころかそこら辺にゴロンとなって寝るのですが、夏のことゆえ毛布やタオルケットで間に合うのです。私も水平線の家のロフトに何度か泊まりましたが、やはり寝袋があると随分助かるのです。早速利用しようと思っていますが、まるでみの虫のように寝袋に体を入れて眠るのは、何となく冒険に出た少年のようでワクワクするのです。水平線の家には私専用の屋根裏部屋があって、息子が用意してくれた私専用の寝袋があり、これまでにも孫朋樹と昼寝を楽しんだことがあり、大きくなりつつある孫たちとこの寝袋を使いたいと思っています。


 結婚式の引き出物といえば、私はこれまで結婚披露宴の司会を537組やっていますが、その都度引き出物をいただき正直な話置き場所に困った経験を持っています。結婚する当事者からすれば記念に差し上げるものには相当気を使うのでしょうが、陶器類や鍋など沢山あり過ぎてもどうにもならないのです。○○家などと名前を書いていないものは、イベントのチャリティバザーに寄付をしたりしましたが、まだまだ家の倉庫にはそれらが捨てることもできず所狭しと占拠しているのです。

 私たちの年齢を考えればもうそんなものを日々の暮らしに使うことはないものと思われ、次男や三男が結婚する時に持たせようと妻は考えているようですが、息子たちも「そんなものは要らない」ということでしょう。

 高度成長時代の引き出物にはプラスチック類が多く、これも捨てるのには一定のルールがあって捨てきれません。そこへ行くとカタログで選ぶ引き出物は時代を反映した賢明な方法だと思うのです。私が先日出席した結婚式はむらおこしに一役買ったであろう地元の特産品でした。


  「引き出物 カタログ選ぶ 時代です 迷った挙句 寝袋届く」

  「倉庫には 使うことなき 引き出物 山と積まれて わがもの顔に」

  「引き出物 分厚カタログ めくりつつ どうせ安物 なんて失礼」

  「嬉しいな 寝袋届き 早速に 広げて中に 実験入る」

 

 

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shin-1さんの日記

○現代生類あわれみの令

 「犬や猫を飼うのが悪いというのではないのです。しかしつい最近のペットブームはどこかむなしさを感じ気になりますね」とは、ある主婦の話です。その人の話によると町内のある集落では、少子化の影響で子どもが数えるほどに減ってしまい、子どもの顔を見ることも子どもの声を聞くことも殆どなくなったと嘆いていました。と同時にいつの間にか若かった人たちもみんな歳を取って、会いさえすればひざやすねや腰が痛いと嘆き節を口にして、歩いたり座ることすらおぼつかず、病院のロビーはその人たちに占拠されているのです。

 そしてこの主婦が言うのには、歳老いた家ではこの10年間で犬や猫を部屋の中で飼う人が軒並み増え、犬猫の鳴き声のしない家は殆どないのだそうです。それは日本の縮図とも思える社会現象で、何もこの集落だけの珍現象ではないのです。動物愛護の精神からいえば犬猫を大事に育てることは決して悪いことではありませんし、少なくなった家族に代わって人間様が動物に癒されたいと思うのは当然のことかも知れないのです。

 昨日自家用車で松山へ行く途中信号待ちをしていて、隣に停車した車を見て一瞬驚きました。運転している中年の人は自分の膝の上に着飾った犬を乗せて運転しているばかりか、後ろの席も助手席も何と5匹もの犬が乗せられていました。その犬たちは全て人間同様ちゃんと洋服が着せられ、毛はまるで美容院に行ったみたいに飾られていて、さしずめ車が犬の動く応接室みたいな感じがしました。停車している間開けられた窓から首をきょとんと出した犬たちは、隣に停車した私に何か語り帰るような仕草をしてじっと見つめているのです。軽く手を振ってやると犬たちは嬉しそうにして去って行きました。

 最近自宅で飼い始めたメダカの餌を買いにホームセンターに立ち寄りましたが、ここでも犬を抱いたお客さんがドッグフードの売り場で、台た犬に何やら話しかけ餌を買い求めていました。いやあ驚きました。ホームセンターのドッグフード売り場はいつの間にか拡張され1レーン全てがドッグフードに埋め尽くされていました。


 私はふと子どものころに習った江戸時代の歴史を思い出しました。五代将軍徳川綱吉は「生類あわれみの令」を出して犬や猫を大切にする政策を発表しました。犬猫をいじめたり殺生すると捕えられ、えらいお咎めを受けるのです。当時犬や猫を飼うのは武家や大名の慰みでしたが、今は庶民の暮らしそのものがお犬様、お猫様といった感じがするのです。この現象は次第にエスカレートして今ではペットの霊園や病院、美容院、ホテルまでできて留まるところを知らないペット産業に発展しているようです。

 少なくなった家族に代わって犬や猫が人間に癒されるのはいいことですが、少し心配なのは豚インフルエンザに見られるような動物が原因で感染するかも知れない病気のことです。ある人は犬にかまれたことが元で原因不明の病気になって入院を余儀なくされたと聞きました。また飼っていたペットが死んで放心状態になり、生きる気力を失って後追い自殺をした話も報道されていました。

 家の中で犬猫を飼うにはしっかりと衛生管理をしなければなりませんが、歳老いて自分に介護のいる高齢者にとってペットの世話は容易なことではありません。ある主婦の話を聞きながら根深い社会の歪を垣間見る思いがしました。

  「犬猫が 老人座敷 占拠する 言葉言いつつ 共に暮らして」

  「犬死んで 悲しさ余り 後を追い 自殺するとは 異状世の中」

  「不況だと 言いつつペット 産業は 確実伸びて 売り場拡張」

  「着飾って 主人とともに 外出す ルンルン気分 窓から顔を」  

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