〇ああ「高校三年生」
最近、作曲家の遠藤実さんが亡くなりました。有名人の訃報など私たち庶民には関係ないのですが、作曲家遠藤実さんは別で、作曲された「高校三年生」や「星影ののワルツ」「先生」「北国の春」など、思い出に残る青春歌が際立って多いのです。特に自分が高校三年生頃に流行った「高校三年生」という歌は一生忘れられない思い出の曲なのです。
高校三年生
1、赤い夕陽が 校舎をそめて
ニレの木陰に はずむ声
ああ 高校三年生 ぼくら
離れ離れに なろうとも
クラス仲間は いつまでも
2、泣いた日もある 怨んだことも
思い出すだろ なつかしく
ああ 高校三年生 ぼくら
フォークダンスの 手をとれば
甘く匂うよ 黒髪が
3、残り少ない 日数を胸に
夢ははばたく 遠い空
ああ 高校三年生 ぼくら
道はそれぞれ 別れても
越えて歌おう この歌を
歌は作曲と作詞、それに歌手が合体して始めて口ずさめるのですが、この歌が遠藤実さんによって作られた曲であることはよく知られているのに、名だたる作詞家にもかかわらず、作詞が丘灯至夫さんであることは余り知られていません。でも二人のコンビがなかったらこの曲はこれほど多くの人の共感を得ることはなかったのです。さらにこの曲を学生服姿で歌った舟木一夫さんの伸びのある歌声は心に染みるのです。
当時は舟木一夫さん、三田明さん、西郷輝彦さんを称して歌謡界の御三家などと呼ばれていましたが、その舟木一夫さんも60歳の還暦を過ぎて赤い学生服で歌っており、昭和は遠くなりにけりの感じがします。
昨晩、友人から届いたハガキを読んでいると、その文面に「高校三年生」という歌の思い出が書かれていました。「-前略-、遠藤実さんが亡くなりました。PTAの二次会はシーホースというスナックでした。飲んだ後最後はみんなが肩を組み高校三年生を歌いましたね。あの時は自分が高校生になったような錯覚で、自分がいい歳になったのも忘れて歌いました。懐かしい思い出です。-後略-」と書かれていました。早速一日三枚のハガキの一枚にしたためましたが、まさに歌に秘められた思い出なのです。
私はそっと自分の木になるカバンからハーモニカを取り出し、「高校三年生」「星影のワルツ」「北国の春」「先生」を全て吹いてみました。時ならぬハーモニカの音色に居間でテレビを見ていた妻も書斎にやってきて、私の下手くそなハーモニカの音色をしみじみと聞いてくれました。ひとつ年下の妻にとっても遠藤実さんの歌は青春の思い出なのでしょう。秘められた恋の思い出などは聞き出せませんでしたが、思い出に浸った冬至をまじかに控えた夜長な夜のひと時でした。
「この歌は 遠藤実の 曲だけど 作詞はえーと 誰だったのか?」
「ああそんな こともあったと 思い出を 思い出させる 嬉しいハガキ」
「青年団 フォークダンスの 手を取って 踊ったあの子 今頃どこに?」
「高校は 男子の生徒 だけなので 黒髪匂う 思い出もなく」