○好きなことば
色々な本を読み、色々な言葉に出会い、色々と書き留め、色々な場所で思い出して活用してきましたが、それらの殆どはいつの間にか忘れ去ってしまいました。また自分もそんな色々な言葉に感化されて、色々な言葉を作り、それもた自著本に書き留めたりして、自分以外の人が私と同じように色々な場所や場面で利用したと、風の頼りに書いていました。
一昨日私の元に一通の封書が届きました。埼玉県熊谷市の龍前宏さんからです。埼玉県での私の講演が縁で付き合いが始まり、不定期ながら自分が雑誌に書いたコピー文とレコーダーテープが届くのです。龍前さんは相当博学で愛読者らしく、毎回ドキリとするような文章を送ってくれるのです。それは多分最近読んだどの本よりも多い情報量で、私の硬化しつつある頭脳を叩き割って、新しい知恵を注入してくれるのです。
今回は「私の好きな言葉」と題して、成田公民館長に就任以来隔月発行されている「公民館だより」の片隅に、読書遍歴を通じて、琴線に触れた先人達の名言を掲載していた幾つかの言葉が届きました。
世の中にもし幸福というものがあるとすれば、それは他人に喜びを与える以上の幸福はない。そして、そのために、人はどれほどのことを忍ばねばならぬものだろうか。
白州正子著「銀座に生き、銀座に死す」より
欲なければ一切足り、求むるあれば全て窮す。
良寛和尚のことば
ふりむくな、ふりむくな、うしろには幸福はない。
寺山修司詩集より
一夜の楽しみは酒、ひと月の楽しみは淡い恋、一生の楽しみは友。
「戦艦大和の最後」の著者、吉田満のことば
どんなに賢くとも、にんげん、自分の背中を見ることはできないんだからね。
山本周五郎著「さぶ」より
湖に浮かべたボートのように、人は後ろ向きで未来に入ってゆく。目に映るのは過去の風景ばかり。明日の景色は誰も知らない。
フランスの詩人 バレリーのことば
互いに非難することがあっても、非難できる資格が自分にあったかどうか、あとで、疑わしくなる方がいい。
吉野弘 作詩「祝婚歌」より
人間は二度と生まれてはこられない。又、そんなにいつまでも生きていられるものでもない。一日一日無理をせず、最善を尽くして生きてゆこう。
昭和天皇侍従長 入江相政著「不如意の美」より
人の美しさは顔形だけではない。美しいことばを使い、美しい表現力を持つこと。わからない言葉や文字に出会った時、おっくうがらずに辞書を引き確かめる。その積み重ねが人の魅力をつくる。
美容学校長 小暮実千代のことば
人間が身体を養うのに食べ物が必要なのと同じように、人の心や魂にも養分が必要だ。そういう魂の食べ物が美術であり、音楽であり、演劇であり、文学なのだ。
作家五木寛之のことば
人と人とは互いに理解しなきゃ仲良くはなれない。こっちが胸を広げなきゃ相手も胸を広げない。それは人間のルールだ。
柳家小三治(噺家) 一冊の本より
何千億か、何万億か、永遠の宇宙に浮かぶこの地球。ほんの一瞬だけ生きる人間、その人間が一生の間に使うものの量というものは、ほんとうにわずかなものだ。
沢村貞子著「老いの楽しみ」より
そろそろ自分自身が感じる幸福を探すことだと思います。他人に見せるための幸福は、所詮は薄っぺらなものでしかない。お金や物にとらわれるのはもう止めにしませんか。個人としての自分、そして自分がやるべき仕事、その一点を見つめることで、きっと幸福の芽が顔を覗かせると私は思います。
新藤兼人(九十六歳)著「いのちのレッスン」より
「魂を 揺さぶるような 言葉抄 俺はまだまだ 門前小僧」
「なるほどと 合図槌打ちて 文を読む 一歩前行く 言葉数々」
「人生の 奥行き間口 大きくて 気付かぬままに 死んで行くかも」
「人間は 言葉を餌に 生きている 言葉次第で 生きる勇気が」