○化けの皮
62年間生きていると毎日色々な人に出会い色々な話を聞きます。大きい話や小さい話、儲けた話や損をした話、夢や失望、悪口や褒め言葉など、対立軸をゼロにして冷静に聞くと、まるで残った電池を調べるテスターのように左に振ったり右に振ったりしながら面白い人間模様を見せてくれるのです。人間は悲しいかな少しでも自分を相手によく見せたいと思うもので、絶えずどうしたら相手に好感を与えれるか考えるものです。さすがに私のような年齢になってリタイヤしたりすると守るものや捨てるものがなくなるので、そんな言動は影を潜めますが、高い公職を持っていればいるほど、お金を持っていればいるほど見栄や虚栄心が働いてしまうものなのです。特に何かの拍子で莫大な富を得たり、名声を得たりすると過去の貧乏や失敗を隠そうとする姿が目に付いて、可哀想と思うほどの言動をとるのです。
最近大臣の辞任が相次いでいます。「末は社長か大臣か」といわれる大臣の椅子は政治家にとって目標の一つなのですが、地元では先生と呼ばれる政治家にとって信用が売りもののはずなのに、功を急ぐ余りにメッキで嘘やボロを隠してはみたものの、国民の代弁者のような顔をしたマスコミと野党の餌食になって哀れな末路を辿っているようです。
最近多い有名人だけでなく国民の離婚の多さも元はといえば大臣と同じ見栄や虚栄心が産んだ悲劇かもしれませんが、離婚の場合は子どもという被害者がいるだけに話は深刻なのです。結婚は少しでもよく見せようとお互いが色々な策を講じます。しかし幾ら策を練ったところで暮らしてみると直ぐに「こんなはずではなかった」と気がつくものです。気がついても誤ったり修復作業をすればいいものを、「嘘つき、インチキ」とののしり合い、結局最後は裁判沙汰や手切れ金での解決を選ぶのです。芸能人は離婚も自分の人気取りの手法と考えている人も多く、新聞や雑誌やテレビは相変わらずの手合いのようです。
昨日まで私は岩手県に行っていました。そこの公民館職員と東京の研修会で知り合ったことがきっかけで研修会に招かれましたが、その職員の動きを見ていると何かほのぼのとするような気持ちになりました。彼は地元の学校に用務員として採用されたそうです。仕事に情熱を傾けると同時に通信教育で見事大学を卒業したそうです。今はその努力が実って短労職から行政職に配置転換されましたが、今もその努力の姿勢は変らず、公民館主事として一生懸命汗と知恵を出して頑張っていました。私も漁師から転職して公民館主事になった経歴を持っているだけに、自分の人生とダブらせながら彼の仕事ぶりを見させてもらいましたが、実によく働き知恵と汗で地元の信用も厚いようでした。
私は彼とまだ3回しか会っていませんが、彼こそメッキなどしていない本物の役所の職員だと思いました。彼の魅力は夢を持っていることです。そしてコトコツとひたむきに働くことです。ひたむきは「下向き」ともとられますが、夢は「上向き」、しかもその夢は自分の幸せより地域の発展や地域の人の幸せに焦点を合わせているのですから、私と同じ公務員=好夢員なのです。
夏の終りに私はいい公民館主事に会いました。彼に会って私の心に新たな進化論が芽生え始めています。それはやはり本物と真心を手に入れるための日々の努力なのです。4度目に彼に会うときはもっともっと進化をしておかねばと決意を新たにしました。
「化けの皮 剥がれ大臣 次々と 辞める姿は どこか哀れだ」
「メッキなど せずも生きたい 堂々と 毎日コツコツ それしかないな」
「頑張れよ 声をかけたい 人に会う 俺の昔を みているようで」
「信用は 日々の努力の 積み重ね 卒業証書 役には立たぬ」