○妻の操縦法10ヶ条・その③
第5条 妻には夫の交流人を会わせるべし
私には様々なジャンルの知人、友人がいます。私のように交流を仕事にしている人間にとっては不特定多数なのです。時には「あなたの話を講演で聞きました」くらいの「袖すりあうも何かの縁」でやって来る人や、「視察」と称して大型バス1台が自宅までやって来ることだってあります。その都度わが家へは毎年コンスタントに1500人もの人が入り乱れてやって来るのです。そんな中には日帰りならまだしも2~3日宿泊逗留したりもしますから、深い深い交流となるのです。1500人の来訪者は少ないように見えますが、1日平均3人弱ですから驚きの数字です。当の本人の私でさえ覚えきれない顔と名前を妻はかなりな精度で覚えています。そして毎年届く夕張メロンやジャガイモ、シシャモなどの特産品交流の返礼として双海町特産のみかんや煮干を、これまた驚くほど送るのです。
妻にとって夫の交流人は気になるところです。いい友達が殆どですが中には事業に失敗して落ち込み金の無心に来る人や離婚の相談、結婚式の司会依頼、視察などそれはもう出会いを通り越してきりがないのです。その都度お茶を出したり酒肴で振舞ったりもう大変なものです。私が逆の立場である人を訪ねた場合、機嫌よく迎え機嫌よく笑顔で送ってもらうとほのぼのとした気持ちになります。迎えることと送ることはとても大事な礼儀なのです。青少年交流の家の皆さんが一番うれしかったのは実はこのことのようでした。妻も私の話の輪の中へ入れるために、日頃から夫婦の対話は欠かせないものです。
第6条 妻以外の女性には目もくれぬべし(ホールインワン)
私は女性が大好きです。といっても闇雲に好きな訳ではありません。まちづくりや講演活動の対象者はダントツに女性が多いのです。そんなまちづくりの現場や講演活動で知り合った女性は数えれば切りがありません。そんな夫の情勢との出会いをいちいち気にしていては妻の身が持ちません。「女房妬くほど亭主もてもせず」の諺どおり私のようなありふれた男性は世の中に5万といるのですから安心すべきなのです。私は町内は勿論のこと、県内ならいたる所で女性が気軽に「進ちゃーん」と手を振ってくれます。先日も妻と一緒に歩いているのにです。妻はそんな様子に顔色一つ変えず信頼しきった笑顔で優しく対応してくれるのです。最近は不倫などが巷の話題に上ります。またメールで毎日のように変な誘惑誘惑メールが届きます。妻以外の女性には目もくれぬホールインワン、穴は妻のひとつのみです。
第7条 妻に財布を任すべし(質素倹約)
私たち夫婦は若いころから質素倹約を旨とした暮しを心がけてきました。心がけるというよりはそうしないと暮しが成り立たなかったのです。安い給料だったし4人の子育ても並大抵ではありませんでした。ましてや修行時代には日本全国を飛び回って様々な知識を習得するため駆けずり回り、お酒の交流も人一倍やりました。妻は内職をしたり勤めたりしながら家計を助けました。「亭主持ち逃げ」なんて項目が妻の家計簿に載っていたのを思い出します。私の友人に給料管理はご主人がして毎月奥さんに生活費を渡している人がいます。その奥さんと話したのですが「気が楽」と言いつつ、何か分らぬ夫婦の溝があるようだとポツリ漏らしていました。私の妻は理数系、私は文系ですから妻の理数系に磨きをかけた節約術を見習って今も随分節約生活をしています。特に私がこの10年余りで貯めた妻半信半疑公認の小遣い貯金による人間牧場構想の実現は、妻に財布を任せた結果の果実です。面白いエピソードは「10円タクシー」です。私が飲み会の時は深夜だろうが必ず松山まで迎えに来てくれました。当時は携帯電話もなく待ち合わせ場所が分らず右往左往したこともあります。タクシー業界には悪いのですがお陰様で随分助かりました。お金を巡るトラブルで夫婦の間に溝が出来ることは決して珍しいことではありません。でもお互いが信じなければ何も始まらないのです。お陰様で家も建てましたし子どもの教育も出来ました
「家計簿に 亭主持ち逃げ 書いていた 昔懐かし 妻の皮肉が」
「乗りました 十円タクシー 妻の愛 よくぞ取ったり 運転免許」
「どれ程の 人に会ったか 分らない 分らぬくらい 人に会わせた」
「この顔で 良かった好かれ 好きもせず 妻しか見えぬ 私の両目」