shin-1さんの日記

○刀の手入れ

私の親父は若い頃から骨董に興味があって、やたらと色々な物を集めていて、家の敷地内にそれらを展示する海の資料館「海舟館」という個人の資料館を開設しています。資料館といっても家の倉庫を改造した簡単な建物なのですが、多分公立でもないような珍しい物を展示していて、我が家を訪れた殆どの人はその珍しさとこだわりに目を見張って驚くのです。

(わが家秘蔵の刀剣類です)

 親父の偉さはそこら辺に落ちているガラクタ同然のものでもしっかりと手入れをして磨きこみ、しっかりと展示に耐えるようにしているセンスのよさです。例えば親父は元漁師ですが、自分が底引き網の操業中網にかかって引き上げられた戦闘機の機銃を根気良く磨いて展示をしているし、ナウマン象の化石だってきちんと塩抜きをして展示しています。また自分の乗ったり見たりしたことのある瀬戸内海で活躍した木造船の模型を自分で手づくりし20隻も展示しています。

 そんな展示に混じって、刀や槍、火縄銃といった日本古来の美術品も展示をしています。多い時には刀など10振りも持っていましたが、息子や親類に剣道をやる人間が多く、譲ったため今は刀が5振り、槍や薙刀、火縄銃などが所狭しと並べられています。

(刀の手入れをする親父)

 今朝親父の隠居に行くと、刀箱から刀や槍を取り出して時代劇映画で見るような姿で刀の手入れをしていました。そして「お前も長男だし、これらを大事に孫子の代まで伝えるためには、手入れの仕方をもうそろそろ習わなければなるまい」と神妙に言うのです。「まだまだ親父の仕事だ」と思いつつ、「そうじゃねえ」と同調しました。親父の話によると刀や槍は2~3ヶ月に一度は箱から取り出し、刀を保存鞘から抜いて打ち粉を打ち、それを拭き取ること二度三度、その後刀用の油を引いてもとの鞘に収める、次に柄をを抜いて手元の手入れも怠らないようにと、指導を受けました。打ち粉を振り過ぎるといけないし、油をつけ過ぎると光が鈍くなるなど、刀の手入れは細心の注意が必要だと厳しく注意され、手ほどきを受けました。親父のいうのにはそれらの作業はわが息子にも既に伝授しているそうで、知らないし出来ないのはどうも私だけだったようなのです。

(親父自慢の一振りです)

 親父が一番自慢にしている刀は昭和41年に打った現代刀ながら「肥前国住兼元」作の一振りです。これはかなりの金をつぎ込んで手に入れたもので、鑑定書では「重要貴重刀剣」にランクされているのです。親父は元々古刀が趣味ですが、この分厚くて長い優れものを大切に保存してきました。「わしが死んでもこの刀と機関銃だけはこの家の宝物として孫子に伝えて欲しい」というのが口癖なのです。

 刀箱に入れ大切にしまっているこれらを私は長男としてしっかり受け継ぐ決意をした朝でした。それにしても3ヶ月に一度手入れが出来るか心配です。

  「長男の お前が受け継げ そういって 刀の手入れ 仕方教える」

  「値打ち物 売れば値打ちを 感じるが ただあるだけで 値打ち分らぬ」

  「そういえば 二人の弟 嬉しげに 刀貰って はしゃいでいたっけ」

  「三ヶ月 一度は刀に 向き合って 打ち粉油で 手入れする羽目」 




この記事はカテゴリ 人間牧場 に投稿されました。この記事をブックマークするには こちらを。この記事へのコメントをフォローする場合の RSSはこちら。 コメント、トラックバックの受付は終了しました。