○言葉を忘れた日本人(旅先にて)
旅先で今朝ホテルの飛鳥という天然温泉に入りました。「朝寝・朝酒・朝湯が大好きで、それで身しょう潰した」は小原庄助さんの歌の文句ですが、私は朝寝も朝酒もやりません。しかし旅先での朝湯はとても楽しみで、ついつい長湯をしてしまうのです。
ビジネスホテルといいながら、つい最近のホテルは風呂好きな日本人に対応して、天然温泉共同浴場を別に備え、24時間サービスしているのです。このホテルの温泉も飛鳥の湯と呼ぶにふさわしい肌触りのよい温泉で、肌がすべすべして、多分帰ったときには妻がわが主人を見まがうほどに男前を上げているのではないかと思うのです。
風呂に入るとたくさんのビジネスマンや観光客が入浴してきます。人懐っこい私は誰かれなく「おはようございます」「どちらから来られましたか?」などと話しかけるのですが、残念ながら眠い目をこすり、迷惑そうな顔をして背を向けるのです。「おはよう」といえば「おはよう」と返ってくる、たとえ見ず知らずでも同じ日本人ですから、言葉くらい掛け合っても罰は当たらないと思うのです。
昨日レストランに入りました。食事を注文して食事を食べ、支払いをしてそのレストランを出る時、レストランの従業員は教育ができているので皆さん丁寧に「ありがとうございます。またお越しください」と声をかけてくれるのですが、殆どの人は「わしはお客だ」と言わんばかりに無口で去って行くのです。
飛行機に乗っても同じです。飛行機に乗り込めば優しい笑顔で「いらっしゃいませ」とスチュワーデスが笑顔で挨拶をしてくれます。飛行機を降りるときも「ありがとうございました。またのご搭乗をお待ちしています」と声をかけても殆どの人が無口で飛行機を降りてゆくのです。
「ありがとうございました。美味しかったよ」と言葉をかけてレストランを出れば、どれほどレストランの従業員は喜ぶことでしょう。またスチュワーデスも喜ぶに違いないのです。
何気ない「ありがとうございます」の一言はを忘れた日本人に、もう一度感謝の言葉を思い出して欲しいと思った朝でした。
「何故なのか 言葉忘れた 日本人 余りに多過ぎ 注意もできず」
「旅先で 声をかけたが 返答も なくて寂しく 温泉浸かる」
「ありがとう 美味しかったと お礼言う 相手びっくり 嬉笑顔で」
「旅に出て 朝寝朝酒 ないけれど 朝湯楽しむ 心ポカポカ」