○送られてきた二枚の委嘱状
私の元へ今年になって2枚の委嘱状が届きました。一枚は地域中小企業サポーター、一枚は地域活性化伝道師への委嘱です。ちょっと珍しいので紹介します。
委 嘱 状
若 松 進 一 殿
中小企業の地域資源を活用した事業展開の支援に関する関係省連絡会議の推薦により貴殿を「地域中小企業サポーター」
に委嘱します。中小企業の地域資源を活用した取組の活性化に向け積極的にご支援いただくようお願いします。なお委嘱期間
は平成19年1月15日から平成19年12月31日までとします。
平成18年1月15日
経済産業大臣 甘 利 明
国土交通大臣 冬 柴 銭 三
地域活性化伝道師
若 松 進 一 殿
貴殿におかれましては、「地域活性化伝道師」として、知識、経験を最大限に生かし、各地の地域活性化の取組を応援いただ
きますよう、お願い致します。地域の埋もれた宝物の発掘を助け、地域のやる気と情熱を喚起してまいりましょう。
平成19年3月30日
地域活性化担当大臣 渡 辺 喜 美
中小企業サポーターの委嘱状は現代的な額装丁を施し大臣印を押したものですが、地域活性化伝道師の方は手すき和紙の縁あり、しかも大臣の印は戦国武将が好んで使った華押文字で、どちらも工夫の跡が見られる素晴らしいものです。
奇人変人と言われながら長命総理大臣だった小泉純一郎さんが身を引き、阿部さんが美しい国日本を旗印に登場してから、これまで遠い政府だった霞ヶ関が私にとっては近い政府になりました。勿論私に与えられた観光カリスマ百選という選定称号は前総理小泉さんの発案ですから一連の伏線と思えばよいのでしょうが、それにしてもリタイアしたような私に3名もの現職大臣から委嘱状が届くのは一体私に何を期待してのことでしょうか。内閣官房という仰々しく印刷された封筒の封を切り中から出てきた委嘱状を手にして、さて私はどんな戦略と戦術で日本という国の地域おこしに貢献できるのか考えてみたのです。
観光カリスマ百選は観光の振興、地域中小企業サポーターは中小企業の振興、地域活性化伝道師は地域の活性化なのですが、地方にとっては三ついずれも厄介な問題を抱えています。まず観光ですが風光明媚な景色や歴史的町並み、温泉地など観光資源のない地域では、様々な策を巡らしても結果的に恒常的な観光地にはなりにくく、グリーンツーリズムのような生産や暮しをテーマにした新しい交流事業も中々骨が折れるようです。中小企業にあっては一部を除いてどの会社もIT時代への対応にはかなりの投資が必要なのですが、人材と資金がネックになって中々一歩踏み出せず、好景気といわれる日本なのに格差社会の洗礼をもろに受けているのが現状です。また地域の活性化にいたっては、過疎と少子高齢化が同時に進行し、高齢化率50パーセントを超えた限界集落が次第にその数を増しています。合併によって人口が増えたような錯覚をしていますが、小さなエリアでの中央集権と自治体の財政破綻は第二、第三の北海道夕張市が生まれる寸前まできているようです。
観光・中小企業・地域という三つの分野だけでも活性化は口で言うほど容易なことではありません。ましてやそんな役割を紙切れ一枚の委嘱状で担えといわれても余程の知恵者で、余程の資産家で、余程の奇特な心を持った人でないと務まる訳がないのです。でも受けたからにはそれ相当の覚悟が必要です。地位名誉や売名のためならいざ知らず、ボランティア精神を持ち進んで国のためになる人間になれるよう努力したいと思っています。
5W(いつ、誰が、何処で、何を、どのように)それぞれに整理をし、目標を決めてことに当たらなければなりませんが、いつの時代にも人・もの・金・こと・情報が大事であることは周知の事実です。特に人と情報と道のネットワークは大事です。
「大臣の 名前の入りし 委嘱状 貰った限り やらなばならぬ」
「伝道師 まるでザビエル 華押文字 秀吉ならぬ 現職大臣」
「カリスマと いわれ三年 経ちました あちらこちから 知恵貸せ来いと」
「何時の世も 人材大事と いうけれど 人財ならぬ 人罪多し」