○ほたる祭り
日本人はよくよくお祭りが好きな人種だと思います。水仙や桜、つつじといった花は勿論のこと、食べ物や動物の冠をつけた祭りが二本中にはやたらとあるのです。隣の松前町などでは特産のネギを活かしてまちおこしをしようとネギ祭りなどを開いています。「ネギがどうしてまちづくりの主役になるの?」と首を傾げたくなりますが、やってる当の本人たちは結構真面目で、人も沢山集まって来るようです。近隣には砥部焼き祭りもあって窯出しの商品が安く買えると好評です。しかし全てのこうした祭りイベントが盛況かというとそうでもなく、まるで浮き草のように根無しで消え行くものもかなりあるようです。祭りは「何のために」という基本コンセプトがしっかりしていなければ長続きするものではありません。最初は地域資源にこだわって始めるのですが、そのうち段々変わった方向に向いて、客寄せパンダのような上滑りの祭りになり、地元からも外からも見放されて終末を迎えるイベントを何度も見てきました。最近は行政も財政難で予讃が付かず金がないから止めるイベントも多いようです。
私が始めたイベントにほたる祭りというのがあります。最初はほたるの飛ぶ川を取り戻そうと始めたのですが、地域の大きな支えもあって今年で20周年目を迎えるほどに成長しています。始めた頃ある町外の人が見学にやって来て「あれぐらいのほたるでようほたる祭りをするなあ」と呆れていましたが、それでもほたる養殖や河川の清掃、環境教育に取り組んだお陰で環境庁ふるさと生き物の里百選に選ばれたり様々な成果を収めてきました。昨晩のほたる祭りは木造校舎の翠小学校が主会場でしたがこれ程どこから人が来るのかと思うほど沢山の人が来ていましたし、ちょうちん行列でほたるを観察をしましたが凄い数のほたるにどの人も感嘆の声をあげていました。
双海町のほたる祭りはほたるを一匹も会場に登場させないのが基本です。普通だと会場に蚊帳で作った擬似草むらにほたるを放って参加者に見せるのですが、第一回目のほたる祭りの打ち合わせの時ある青年が、「ほたるはその寿命はたかだか20日間、そんな短い命を人間のエゴで見世物にするようなイベントはやっても無意味、ほたるに触らないのが一番」と提案しました。そのことがきっかけで県下に先駆けて「ほたる保護条例」が制定され他のです。
昨日のほたる祭りもその方針はしっかりと守られ、ほたるが主役、みんなが脇役のほのぼのとしたイベントでした。私にとってこのほたる祭りは木造校舎の存在や、水車小屋の設置、環境問題への取り組みなど、忘れられない思い出のひとつとなっています。
ほたる祭りには妻、娘、孫、息子夫婦で出掛け、懐かしいそうめん流しと季節遅れのイチゴ狩りを楽しんで帰りました。
「アッほたる あそこここにと 指を刺す 孫の見つけし 光追いつつ」
「ゴキブリの ようだと孫が 指を刺す 木造校舎に 蛍留まって」
「ソウメンを たらふく食って 三百円 今年も薬味に 笑顔を沿えて」
「一年に 一度のほたる 久しぶり 懐かし友の 顔々も見え」