〇怒りっぽくなった私
若い頃から色々な社会活動に参加し、それなりに生きて来た私ゆえ、他人の目から見れば一見良識派のように見えるそうですが実際はそうではなく、口では「妻に感謝している」と愛妻ぶりな振る舞いをしているのに家庭では、妻の名前は呼び捨て、何かにつけて亭主関白な生き方をしています。ゆえに一方的で私が悪いと自覚しているものの、人並みに夫婦喧嘩もするのです。
妻に言わせれば私の日常は相変わらず忙しいものの、最近新型コロナの影響で不用不急の外出を自粛する風潮もあって、家にいる機会が多少多くなったためでしょうか、多少「怒りっぽくなった」そうです。「頑固」は年寄りの特徴だし、「自我」を通そうとするのもある意味無理からぬことでしょうが、気焦らしい性格は一向に治らず、「狭い日本そんなに急いで何処へ行く」と思いながらも、朝4時に起きて夜11時に床に就く間、「早く早く」の一日を繰り返しているようです。
妻から「怒りっぽくなった」との指摘を受けて、「これではいけない」と反省して治そうとしていますが、言う口の下も乾かぬうちにすぐにその誓いも忘れて怒ってしまう有様で、まだまだ人間としての修行が足らないようです。そこでいつものことながら、書斎の板壁に「急ぐな怒るな一呼吸」と書いた紙を貼りつけました。妻はこの貼り紙を見て笑っていました。
「良識派 見えるそうです 実態は わがまま親父 関白宣言」
「怒りっぽく なったと妻の 指摘受け 反省しきり 修行が足りぬ」
「板壁に 『急ぐな怒るな 一呼吸』 書いて貼り出す 愚かな私」
「気が付いた やはり私は 凡人でした 多分このまま 一生終わる」