人間牧場

〇近所の餅撒き

 私たちの住んでいる田舎は、過疎化高齢化を反映して空き家が目立つようになりました。空き家は壁が崩れ屋根が抜けるような老朽した家を除けば、外を歩いただけでは余り気付きませんが、特に街がかった地区での空き家率が高く、カーテンが引かれ戸が閉まったままの家が何軒もあるようです。

餅拾いに集った人たち
餅拾いに集った人たち

 そんな中、私の組内で昨日久しぶりに若い人の建前がありました。この土地の持ち主は既に他界し、遺族が金をかけて家を取り壊して新地にして、不動産屋を通じて売り出したものの中々売れなかったようですが、最近売り買いが成立し家を建てることになったようです。何はともあれこの町に、そしてわが隣組に定住してくれることはありがたいことなのです。

 この三ヵ月余り、擁壁や土地を埋め立てる土工事や基礎工事が急ピッチで進み、昨日の新築落成に漕ぎつけたようでしたが、昨日の新築棟上を見て、私が40年前に棟上した頃と随分家の建て方も違うことを実感しました。私の家は今で言う古民家風で、壁は土壁、屋根は重い土を乗せた日本瓦です。最近の家は工場で作ったパーツを組み立てる工法で、棟上の日に殆どの組み立てが完成していました。

 棟上の日は多くの人が集って協力し合いましたが、今は施主さえも殆ど顔を見せず、ヘルメットを被った作業チームが鋸も金槌も、ノミもカンナも使わず、エアーガンで「プシュップシュッ」という鈍い音を立てて止め釘を打っていました。でも夕方になると身内の人も集まって餅を撒き、近所の人や学校帰りの中学生が沢山加わって、お餅を拾っていました。若い夫婦は住宅ローンを組むことでしょうが、ゼロ金利とはいえこれから償還計画に沿って減らぬ元金にため息をつきながら、試練を乗り越えて行くことでしょう。

  「過疎の町 空き家が多く なりにけり あそこもここも 人の気配なく」

  「久しぶり 近所に家が 建つという 話を聞いて 嬉しかりけり」

  「今頃は 耐震工法 軽い家 棟上の日に 殆ど組み立て」

  「餅撒きは 日本の古い 習わしで 地べたはいずり お餅を拾う」 

 

 

 

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