人間牧場

〇12年後の自分

 今朝ウォーキングの途中で、ある初老の顔見知りの人に会いました。久しぶりに出会ったので、「おはようございます。お元気そうで何よりですね」と声をかけると、「それがご覧のとおり、余り元気じゃないのよ。歳を取るって嫌じゃなあ」と、力のない悲観的言葉が返ってきました。「失礼ですがお幾つになられました?」と尋ねると、「83歳」だそうで、足腰が弱って手押し車の世話になっているようでした。運転免許証も3年前既に返納しているので遠出もできないし、田舎では買い物もできず不自由極まりないと寂しそうに話されました。

 「いよいよわしも赤子に戻りつつある」という言葉を納得しながら聞きました。その人の話によると人間という動物は、生まれてから1歳までは自分の足で立つことができず、足2本、腕2本で四つんばいになって動きます。やがて1歳の誕生日前後から直立して歩くようになりますが、歳を取ると2本の足で歩くことが困難になり、両手に杖か乳母車のようなものがないと歩くことができにくくなるようで、杖も乳母車も手の延長だそうで、人間が先祖返りする様子がよく分るというのです。なるほどなるほどと、立ち話に納得しきりでした。

 自分が前期高齢者の仲間入りをしたから余計そう思うのかも知れませんが、私たちの身の回りには急速に進む高齢化社会を反映して、お年寄りの姿がやたらと目に付くようになりました。勿論90歳を越えてもなおかくしゃくとしている元気な人もいますが、若い頃の働き過ぎが原因と思われる足腰の不調を訴える人も多く、またまだ若いと思える人が認知症になったりしているケースも目立ち、他人事ではななく明日はわが身としみじみ思うのです。健康寿命は人それぞれで、私と余り歳が違わない人でも、ディサービスに出かけている人もいます。もしも私が今朝あった知人と同じような運命を辿るとしたら、あと12年で四足動物になるのかも・・・。悲しいけれどこれが現実です。

  「元気かい それが元気じゃ ないと言う 手押し車の お世話になって」

  「同年代 認知が進み ディサービス 早くも介護 悲しい現実」

  「人間は 最初と最後 四つんばい なるのだそうだ 納得しました」

  「12年 経ったら私も あのように 手押し車に つかまり歩く」

 

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