〇心を磨く100の智恵・その3「賞賛をひとり占めしない」
【どんなに賞賛を受けても、自分ひとりの力と思わない。必ず「周囲の人のおかげだ」と感謝の念を抱くことが肝要である。その習慣が禍根や災厄を遠ざけ、安寧の日々をもたらすことになるのだ。また批判を受けたら、甘んじて受け入れよう。そうすることで、人徳が磨かれていくのである。】
職場は上司・同僚・部下によって縦社会が組織され、それぞれが目的達成のために命令を受けて働きます。つい最近はプロジェクトチームを組んで働く横組織のようなものもありますが、いずれの場合も結果や成果はみんなの総合力で得られるものなのです。逆に失敗の批判もみんなが分け合わねばなりません。ところが世の中には勝ちは己、負けは他人という考えの人もいるのです。
私は役所で初めて地域振興課長になった時、課長職の自分以外部下がまったくいない、たった一人だけの珍しい時代がありました。「日本で一番小さな夕日夕焼け課長」などと、当時は大いに気に入って町長さんから特命を受けた「ふたみシーサイド公園」の整備や、運営の立ち上げに忙しい日々を過ごしていました。その成果は注目を集めましたが、かなりの資金を使うため反対や物議を醸したこともあって苦労しました。苦労があればあるほど乗り越えてつかんだ成果の喜びは大きく、有頂天になるものです。しかしたった一人の課といえどもその成功は、基はといえば町長、議会、町民などなど多くの人の力があったからこそ成し得たものなのです。
私はその重労働が基で体重が13キロも激減するほど体調を崩してしまいましたが、私の健康や仕事の悩みを少しでも和らげようと、妻も子どもたちも両親もみんなが陰ながら支えてくれました。ゆえにそれらの成果はみんなのものとして、いついつまでも感謝の心を忘れてはならないのです。
私はこれまで大臣表彰を3回など、様々な表彰状をいただいているし、NHK「人間マップ」やNHK「明るい農村」、NHK【ラジオ深夜便」など、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌にも度々紹介されました。その手の類は人に焦点を当てるものですから、まるで私一人の力のようにドラマ化されて、周りの人の目には賞賛をひとり占めしたように映ったのか、妬まれたりもしましたが、全ての職責を辞して退職して6年が経ってその当時を振り返ると、自分も幾分か有頂天だったことが思い出され、深く深く反省するのです。
でも数々の失敗の責任も他の人に転嫁せず、甘んじて受け入れ責任を取ったことは良かったと思っています。
私はもう後が余りない人生なのに、人徳を磨こうと努力しています。人徳の最高は「事の成就は周りの人に、批判はわが身に」と思えることです。人徳発展の途上にある私ゆえ、まだそこまでは到達していませんが、心がけていればいい人生が送れるであろうと思っています。
「賞賛を ひとり占めして 有頂天 若気の至り 汗顔しきり」
「失敗の 責任逃れ しなかった せめて救いは これのみの自負」
「人徳を 磨く途中に あるがゆえ まだまだまだと 心に説いて」
「気がつけば 後が少ない 崖っぷち 差し伸べる手に 誰がすがるか」