○燻製の実験
「血は争えない」という言葉がありますが、長男息子を見ていると何だか同じような考えや行動が目について、少し怖いくらいです。私が人間牧場の構想を家族に話したとき、いの一番に賛成したのは長男だし、これまで人間牧場の設計から掃除に至るまで様々な形で参加協力をしてくれました。資金的に厳しい私と、発想重視の息子とでは考えのスタートが違うため、何かにつけて衝突しながら接地点を探しつつ日の目を見ましたが、今もある部分で満足し、ある部分で不満を言いながら次の夢に向かってお互いが協力しているのです。
そんな息子が連休に帰ってきて、燻製の実験をしようと持ちかけました。私も燻製を人間牧場のメニューに是非加えたいと思っているので、やろうと手を上げました。息子は既に人間牧場で始まっている命のリレープロジェクトのミツバチを飼うことの発案者で、既に本を買ったりインターネットでミツバチについて資料を集めていますし、今回の燻製についても本や資料を取り寄せ、簡易なアウトドアーの燻製器をどこかからし入れているようでした。
天気が良いため庭に燻製器を持ち出しきれいに拭いてからソーセージの燻製に取り掛かりました。ソーセージは2種類用意していました。小さな燻製器なので一度に10本余りしか処理できないのですが、実験なので十分とばかりに金属製の皿に桜の木のチップを入れ、外のガスコンロ上に置いていぶし始めました。カタログ片手に時間を計ってやり始めると桜の木の煙がモクモクと出てきました。そのうちいいにおいが立ち込めました。時間を見計らって蓋を開けてみると煙にいぶされたウインナーソーセージが出来上がり、皿に盛りつけました。家族も初めての試みなので息子のやることに興味深々で、集まって覗きこんでいました。
熱いうちにと勧められ食べてみましたが、始め手にしては中々の出来上がりで、みんなに大好評でした。その反応に気を良くした息子は次にチーズの燻製を始めました。ところがチーズは熱に弱いため、最初に温度を上げ過ぎたため、まるで飴のように溶けて垂れ下がりものの見事に失敗してしまいました。ウインナーソーセージで株が上がっていただけに、息子は少し落胆したようでしたが、「失敗は成功の母」などといいながら燻製の実験は終わりました。
その夜は娘婿の実家に帰省している娘を覗いて3人の息子が帰省していたため、焼き肉を中心にした食事に息子の作った燻製ソーセージが加わり、大いに盛り上がりました。少し時間がとれるようになったら、燻製器を作ろうと息子と相談がまとまっています。そのためには釜戸小屋を早く作らなければならないと、これも息子の設計に依存するだけにまた息子との確執が始まったようです。28歳も年の差がある息子ですから衝突は当然です。でも同じ考えや行動を親子で共有できることは嬉しいことなのです。
「親と子が 同じ趣味持ち 楽しげに 妻も呆れて ニヤニヤ笑う」
「燻製の ソーセージ食べ こりゃいける チーズは涙 半信半疑」
「親子とは こうも似るかと 時々に 思うことあり 親子ですから」
「次々と やる夢親子 語りあう 次は釜戸が 何時頃できる」