○失くした名刺入れ
私は名刺入れを三つ持っています。一つは常用の名刺入れで、40枚くらい入ります。二つ目は木で出来た見仕入れで、木のカバンにこだわる時に「木になる名刺入れ」何て洒落た使い方をするため、カバンの中に忍ばせて歩いています。もう一つは前二つの失くした時に使う予備の名刺入れです。これまでにも名刺入れはあちらこちらで紛失劇を繰り返し、そのつど使い分けをしてきました。
一週間ほど前常用の名刺入れが突如として背広の内ポケットから消えたのです。思い当たる場所を色々と探したのですが発見されず、先日出かけた福岡博多と秋田能代へは木になる名刺入れで望みました。本当はこの名刺入れが一番好きなのですが、この名刺入れには僅か12枚しか入らない難点があるのです。そのため名刺を一箱着替えを入れるカバンに忍ばせて出かけましたが、荷物を両手で持つため名刺の重さが加わって少し難儀をしてしまいました。
(右端の名刺入れが今回発見したもの、真ん中が木になる名刺入れ、左が昔使っていた予備の名刺入れ、いずれも私にとっては外交官くらい大切な持ち物です)
妻に旅先から電話で名刺入れを探すよう依頼していましたが、妻も捜したものの見つけることは出来ませんでした。今日もう一度自分で探してみようと居間、書斎、車、煙会所などをしらみつぶしに探して回りました。やはりないなあと諦めかけていたら、車の座席の下に転がっているのです。「やったー」と思わず嬉しくなって叫んでしまいました。多分車に乗り背広を脱いで後部座席に置いた時すり落ちたものと思われます。この名刺入れは私が代表を務める21世紀えひめニューフロンティアグループが、無人島キャンプなどの活動を通して環境保全教育に功労があったと、コカコーラから「環境教育賞」なるものをいただいた時、副賞などとともに、メンバーに記念品としていただいたものなのです。故に大切に使ってきました。いいものなのでしょうか、十年以上使っているのに中は少しくたびれて破けていますが、外面はしゃんとして、終身使えるような立派さなのです。外にはコカコーラの透かしが、中にはイニシャルが入っていますが、私にとっては忘れられない思い出の品物なのです。
最近は歳のせいでしょうか、忘れ物が多いとブログにも書きましたが、全国を渡り歩く私にとって名刺入れは自分の代名詞のような大切なものなので、無くなれば本当に困ってしまうのです。私の友人でえひめ地域づくり研究会議事務局長の岡崎さんも私と同じような瓜二つの名刺入れを使っていますが、彼からも一度だけ「名刺入れを探している」と電話がかかってきたことがあり、「名刺入れを失くすのは私だけではないな」と、人ごとながら安心した事を思い出しました。
名刺入れには私の名刺とともに、出会った人からいただいた名刺が数枚入っています。人からいただいた名刺はその都度名刺入れから取り出し、毎日三枚のハガキを書く習慣に合わせて整理をするよう心がけていますが、いただいた名刺はその場限りで殆どの名刺は書斎の書棚の一角の名刺置き場に入れられ、何年かすると廃棄処分になるのです。名刺を整理すると面白いと友人から言われていますが、そんな暇と余裕もなく、うず高く積まれています。
無くした名刺入れの発見によって、名刺入れに入ったままだったいただいた名刺を見ながら、早速遅ればせな返事のハガキを書き、メールを送りました。自分の加齢とともに始まったボケた人生を嘆きながら、これからは絶対この名刺入れを失くすまいと、心に誓いました。
「失くしたる 名刺入れ出て 一安心 貰いし名刺 頼りにハガキ」
「これだけは 何としてでも 見つけねば その執念が 見事実りて」
「俺だけと 思っていたら 友人も 同じ失せもの 探して苦労」
「貰い物 故になくしちゃ いけないと 心に誓い 肌身離さず」