○素晴らしいアイディアのハガキと名刺
今朝旅先の熊本県から帰郷すると郵便物に混じって沢山のハガキが届いていました。その中にキラリ光る一個のハガキを見つけました。ハガキを一枚といわず一個といったのは下の写真のように白樺の木をスライスしたハガキだからです。80円と50円の切手を合計130円分貼った特製ハガキは真ん中をくり抜いて駿馬がこれまた程よく彫刻されていて、全体の美しさもさることながらボールペンで書いた文字がまたとても美しく、嬉しくなりました。差出人は木曽町大目富美雄とあります。実はこの方、先日高知県馬路村行われた全国まちづくり交流会で知り合った方なのです。私の手元に残っている名刺を繰ると木曽町役場企画調整課に勤める課長補佐と書いています。ハガキの裏には「若松さんの実践的な話ハーモニカの音色、まちづくりは自分が楽しくなければ駄目、子どもたちが自分の町を語れるように・・・・」など、私が講演で語ったことが短くまとめられ、「ハガキ3枚のハガキを毎日書く事を20年間続けているという貴重な話」で結んでいるのです。
(長野県木曽町の大目さんから送られてきた木になるハガキ(左)と、高知県馬路村で開かれた全国まちづくり交流会で大目さんからいただいた名刺)
馬路村で150枚も名刺交換したのに何故大目さんの事を覚えていたかというと、それは名刺のアイディアが凄かったからです。大目さんの名刺は上の写真のように本物の免許証と見間違えるほどの精巧さで作られていているのですが、よくよく見るとアイディアが一杯なのです。氏名・生年月日はかわらないものの、職場は役場企画調整課(課長補佐)、電話・FAX・E-mall、平成19年の異動まで有効、免許条件 眼鏡等、免許の種類はこれまで歩いて来た職場に1、異動したことのない部署には1がつけられているのです。私も色々な名刺を見てきましたが、このアイディアはダントツで、正直手渡されたときは間違って運転免許証を手渡されたような勘違いをしてしまうほど実に精巧に出来ています。ひょっとしたら偽札と同じで悪用されるのではないかと心配したほどです。そんなご縁がたった一枚の名刺で出来ていたものですから、今日木で出来たハガキをもらった時、一事に秀でたものは万事に秀でると直感したのです。大目さんの話によるとこの名刺は名刺コンテストでグランプリを獲得したそうですが、私にとってこの名刺は一生忘れない思い出の一枚となることでしょう。
私たちは20年間無人島キャンプなどを実践してきましたが、その都度無人島で拾った小石や流木板切れなどに宛名や手紙を書いて家族や友人宛に送りました。その都度家族や友人はとてつもない変った便りに驚いたようでしたが、大目さんからいただいた木のハガキは、数多い私へのハガキの中で今年最高のグランプリに輝くのは間違いないと思いましたし、名刺と共に人間牧場へ持って行って大切に飾り、来訪者に自慢してやりたいと思っています。それにしても世の中は面白いアイディアを持った人がいるものだし、それを行動に移した大目さんは偉いと思いました。「大目玉」という言葉があります。悪い事をして叱られることのようですが、私にとって大目さんからのハガキと名刺は「大目玉を開けよ」と教えてくれたショックでした。
毎日色々な人に会い、名刺を交換する光景を何度も見てきたし、私自身もそんな行動を今も取っています。また出会いの感動や感想をハガキに託して相手に送ることもしてきたし相手から貰いもしました。たった一枚の名刺が、たった一枚のハガキが心を揺さぶり、覚えていてもらえるならこれほど凄いことはありません。今一度名刺やハガキについて考えてみたいものです。
先日馬路村でこのことが話題になりましたが、馬路村の木下産業建設課長さんも面白い名刺を持っています。同じものを私に数枚作って送ってくれましたが、名刺入れから差し出した名刺は「あれ裏側かな」と思うほど自分の名前が小さくて右手の親指で丁度隠れるようになっていました。名刺を貰った瞬間の「あれっ」が人を引きつけるのです。ただしその一矢の次にどういう言葉の二の矢三の矢を出させるか、これがないと、折角のショックが台無しになるという話をして盛り上がりました。
私の漫画チックな名刺と人間牧場主という肩書きはその点大目三の名刺には適いませんが中々の秀作だと思っています。名刺一枚にも知恵を出す、ハガキ一枚で相手への思いを伝える、こんな市役所の職員は残念ながらもう少なくなりました。
「免許証? いやいやこれは 名刺です いやはや参った 一本取られ」
「おっ来たか 名刺で驚き 次ハガキ 次は何かと 大きな期待」
「裏返し? いやいや裏では ありません 表向きです 私の顔は」
「ちょっと待て 思わせぶりな 人ありて 何処か気になる だからおもろい」