○ビワの実の熟れる頃
雨の少ない年は果物が美味いとよく言われますが、確かに今年のビワは玉太りもよく甘味も十分乗ってどれを食べても美味しいものばかりです。今年一番最初にビワを食べたのは確か先月17日でした。あれから1ヵ月近くが経過しているのに、極早生、早生、中生、晩生とそれぞれ微妙に違う品種の特性があって結構長い間その味を楽しめるのです。わが家には残念ながらビワの木がないたことが幸いし?、近所の知人友人が思い思いに持ってきてくれるのです。みかん一辺倒だったわが町も自衛本能とでもいうべきか生産の柱をみかん・晩柑・キウイフルーツ・ビワなどを組み合わせて栽培している人が多くなりました。とりわけこの10年ほどでビワの植栽や収穫量は急速に伸び、海沿いの温暖な気候を利用して新興産地となりつつあるようです。やまのあちこちには4月頃、袋を被せた美しい光景があちこちで見られるのも今様なのです。
ところが最近はカラスがこの袋目がけて飛来し、辺りかまわず食い散らすのです。農家は折角の労作を食べられては大変と食害対策としてあの手この手を考え、ガス玉で驚かせたりビワの木にテグスを張ったりと、要らぬ労力をかけてカラスとの知恵比べをしていますが、今のところ不意打ちを得意とするカラスに軍配が上がってるようです。しかし当のお百姓さんにとってカラスの食害死活問題ですから、憎きカラスの夢を見たり時には有害鳥獣駆除という方法でお尋ね者の一掃駆除を猟友会にお願いしていますが、撃ったカラスの足を役場に持参する確認方法で調べてもまだカラスが一枚上といわざるを得ないようです。
わが家に持ってきて貰うビワは出荷できない品質の全て2級品なのですが、味は1級品と殆ど変らないのです。ここでも買う側消費者の「見た目」の美しさが求められているようで、少し風傷のあるものや、形の悪いもの、カメムシ虫害にあったものなどいわく因縁の付いたものは製品であって商品にはならないようです。冬の寒さの中での摘果や高い木の上での袋をかける危険な作業をした成果がこれなのかと思うと、報われない苦労に感謝しながら食べない訳にはいかないのです。
ビワは他の果物に比べ種の分量が多く、皮やヘタや種が約半分もあるのが難点だ思うのですが、それでも季節を感じる果物としては最高に美味しく、傷み足が速い果物だけに今は毎日食事代わりのような感じで楽しく食べています。
公民館に勤めていた頃、生活改善グループの特産品開発でビワの瓶詰めの実習をしたことがあります。ビワを半分に割り中の種を取って黒く参加しないように下処理をして瓶に詰めシロップを加えて機械で栓を締め、蒸気殺菌をして出来上がった瓶詰めを何本か貰ったことがありました。何ヶ月か後に食べてみましたが美味しくいただいたし、今でも妻は瓶詰めのビワを入れた寒天ゼリーを作りますが、これも夏の涼を誘うデザートとしてわが家では親しまれています。
台風被害、ヒョウ被害に遭った「訳ありリンゴ」や「訳あり柿」などを農家を助ける運動としてやっていて、私も地域づくりの仕事をしている関係上よく買いますし、日曜市などにはこうした産品が安値で出回ります。見た目本位から味本位や安全本位に変わって欲しいと思いつつ、相変わらず風評被害を撒き散らす庶民意識に青色吐息のこの頃です。
今年も美味しいビワを届けていただいた農家の知人友人に感謝をしつつ、今朝も朝フルといきましょうか。
「ビワを見ず 俺の顔見て 見た目より なんて口する 二人食卓」
「下取りを して欲しいねと 種の量 皿に山盛り 腹はそんなに」
「もう一個 更に一個と 食べ過ぎて ビワ腹ふくれ ご飯食べれず」
「食前に 食べるが本当 果物は 食後デザート 太る原因」