○雨が欲しい日々
「一雨欲しいなあ」と会う人誰もがあいさつ代わりに話します。「天気が悪い」といえば雨や嵐のことをいいますが、天気の良い日がこうも長く続いて水不足が深刻になると、天気がよいのも悪いという表現に変えなければならないと思うのです。わが家の池の水は裏山から流れ出る清水を利用していますが、冬の少雨やこのところのお天気続きで水が出なくなってしまい、飼っている鯉のことが心配になって親父をやきもきさせています。また畑の夏野菜も雨不足で生育が悪く、井戸の水を夕方潅水しなければならず、一仕事あるようです。
でも雨が降らないことも悪いことばかりではありません。洗濯物は乾くし産後の静養のため実家に帰っている娘はじめじめしない快適な暮しを喜び、お陰様で孫も順調に育っているようです。
馬路村でのまちづくり交流会に出かけていて三日ほど家を留守にしていたので、昨日は思い切って人間牧場へ出かけ草刈り作業をしました。前日は第二農場と思っている畑の倉庫が長年の風浪に朽ちて危険になったため壊す作業をしたし、昨日は草刈りとお日様の恩恵をまともに受けて百姓三昧の日々です。雨が少ないため草丈はそれ程延びてはおらず、三回目の草刈りは順調に進みました。
昨日は草刈り途中で草刈機がトラブルを起こしてしまいました。前々からその予感があったのですが、それでも古い型ながら使えるだけ使おうと考えて使っていますが、ついに燃料タンクからエンジンに行くパイプが裂けてガソリンが噴出し、エンジンが止ってしまいました。普通だと農機具屋さんに駆け込むのですが、この際自分で治してやろうと分解をし始めました。部品を一つ一つ丁寧に外して布の上に順番に並べてゆきました。そしてビニールパイプの予備と交換して元通りに組み立てました。腕の鈍いことを自認する私ですから、壊れて元々の思いでやりました。ところが奇跡が起こったのです。私の修理した草刈機が油漏れもなく前にもまして快調に動くではありませんか。私は凄いと自分自身を褒めてやりたいような心境でした。
何度か混合油を入れ足し、その都度したたる汗を拭いながら冷たいお茶を飲み、草刈り作業は予想以上にはかどりました。この分だと後半日で残った草は綺麗に刈れるのではないかと思われます。
草刈り作業をしているとおもしろ教室の事務局の職員が芋畑の様子を見に来ました。芋の生育はこのところの日照りで芳しくなく、中には植え方の浅いものは何本か枯れているようだし、補植が必要な畝もありました。イノシシのことだけに気を取られていましたが、水不足という思わぬ問題に直面して気が気ではないようです。それでも職員さんはその日の芋畑の様子をカメラに収めて帰って行きました。
草刈りが一段落したので帰ろうと思い梅畑の横を通りました。何やら梅の木に赤いものが沢山見えました。よく見ると一枝そっくり梅の取り残しがあるのです。収穫袋を持ち合わせていないため、麦藁帽子を袋にして木に登って取りました。大豊作の残りなのでそこここにまだ沢山残っていて、10キロも収穫しました。これは完熟梅という、梅干しには最適の梅ではないかと思われるようにかなり熟していました。ダンボールに入れて家へ持って帰りましたが、今年は梅の処理に疲れた妻にして思えば余り嬉しくない農産物かもしれませんが、塩梅干しにして保存したいと思っています。
「甦る 使い古しの 草刈機 俺と同じで も少しお役に」
「雨降らぬ 草丈さえも 縮こまり 何か得した 今年の天気」
「残り梅 取ってびっくり 十キロも 完熟梅を 早速漬け込む」
「この風景 金にならぬと お百姓 ぼやきながらも この地で生きる」